「トマトって体を冷やすって聞いたけど、本当なの?」「夏バテ対策に良いと聞いたけど、冷え性の私が食べても大丈夫?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

薬膳の視点では、確かにトマトは「冷性」の食材とされていますが、それは必ずしも”避けるべき”という意味ではありません。特に夏の暑さで疲れた体には、トマトの「熱をさます力」が非常に有効なのです。

この記事では、トマトの薬膳的な特徴や効能、そして冷え性の方でも安心して取り入れられる食べ方のコツをご紹介していきます。季節や体質に合わせてトマトを上手に活用して、夏を健やかに過ごしていきましょう!

トマトは薬膳で「冷性」の食材?その意味と特徴とは

トマトがなぜ薬膳で「冷性」と呼ばれるのか、その特徴について詳しく見ていきましょう。

「五性」の中でトマトは”涼性”または”寒性”とされる

薬膳では食材を「熱・温・平・涼・寒」の五性に分類します。

トマトは基本的に「涼性」または「寒性」に分類される食材です。これは、体内に入ったときに体を冷やす方向に働くという性質を持っていることを意味しています。

この「冷やす力」は、特に赤く完熟したトマトよりも、緑がかった未熟なトマトの方が強いとされています。完熟すると若干「涼性」へと変化し、冷やす力はやや穏やかになるとされているのです。

「甘味」と「酸味」があり、身体を潤し熱を冷ます作用がある

薬膳では食材の味も重要な要素で、トマトは「甘味」と「酸味」の両方を持っているとされています。

この「甘味」は体を養い、「酸味」は収斂する性質があります。特にトマトの酸味には体内の余分な熱を冷まし、のどの渇きを潤す効果があるとされているのです。

また、水分が多く含まれるトマトは、体内の潤いを補う作用もあり、夏の暑さで失われた水分バランスを整える助けになります。ただし、過剰に摂取すると胃腸に「湿」をもたらすことがあるため、適量を心がけることも大切です。

帰経(作用する臓腑)は「肝」「胃」—イライラ・消化不良に◎

薬膳では、食材がどの「臓腑(ぞうふ)」に作用するかも重視されます。

トマトは主に「肝」と「胃」に作用するとされています。「肝」は感情のコントロールと関係があり、トマトを摂ることで肝の熱を冷まし、イライラや怒りっぽさを和らげる効果が期待できるのです。

また「胃」への作用により、食欲不振や消化不良の改善にも役立つとされています。特に暑さで胃の調子が悪くなりがちな夏場には、トマトの酸味が食欲を増進させる効果も期待できます。

“冷性”だからこそ、夏にこそ活躍する理由とは?

「冷性」と聞くと避けるべきと思われがちですが、実は季節によってはむしろ積極的に取り入れたい性質なのです。

夏の暑さで体内に熱がこもりやすい時期には、トマトの冷やす力が「熱さまし」として大いに役立ちます。暑さによる火照りやのぼせ、イライラなどを和らげる効果が期待できるからです。

さらに、トマトが旬を迎えるのも夏であり、これは自然の摂理として、暑い時期に体を冷やす食材が豊富に実ることの意味を感じさせます。「旬の食材を食べる」という薬膳の基本原則に従えば、夏にトマトを食べることは理にかなっているのです。

なぜ”熱さまし”になる?トマトの薬膳的な効能とは

トマトが夏の暑さにどのように効果を発揮するのか、その具体的な効能について掘り下げていきましょう。

火照り・のぼせ・喉の渇きなど、夏の熱に効く

夏の暑さで体に溜まった熱により、顔の火照りやのぼせ、喉の渇きなどの不快な症状が現れることがあります。

トマトに含まれる水分と「涼性」の性質は、こうした体内の余分な熱を冷まし、症状を和らげる効果があると考えられています。特に顔が赤くなるような火照りや、イライラなどの「上気」した状態に対して効果的とされているのです。

薬膳では「熱を冷ます」食材としてトマトを位置づけており、古くから夏バテ対策の食材として重宝されてきました。水分補給と同時に「熱さまし」効果を得られる点が、トマトの魅力といえるでしょう。

胃腸の熱を冷まし、食欲不振にもアプローチ

夏場は暑さのために胃腸が弱り、食欲不振に悩む方も多いものです。

トマトの適度な酸味は胃液の分泌を促し、弱った消化機能を刺激する効果があります。また「胃」に作用するトマトは、胃腸にたまった熱を冷まし、消化不良や胸やけなどの不快感を和らげるとされているのです。

ただし、生のトマトの食べ過ぎは胃を冷やしすぎることがあるため、胃腸が弱い方は軽く加熱したり、温性の食材と組み合わせたりするなどの工夫が必要です。こうした点に注意すれば、夏の食欲不振対策としてトマトの効果を安全に得ることができます。

抗酸化作用のあるリコピンで”内側からの熱対策”にも

現代栄養学では、トマトに含まれるリコピンの抗酸化作用が注目されています。

薬膳の観点からも、この抗酸化作用は「内側からの熱対策」として理解することができます。体内の炎症を抑え、熱の過剰な発生を防ぐ効果があると考えられているのです。

興味深いことに、トマトは加熱するとリコピンの吸収率が高まることが知られています。これは、冷え性の方でも安心してトマトの効果を得られる理由の一つと言えるでしょう。スープやパスタソースなど、加熱調理したトマト料理は、栄養面でも薬膳的にも理にかなっているのです。

夏の外熱×内熱を和らげる”天然のクールダウン食材”

薬膳では「外熱」と「内熱」という考え方があります。

「外熱」は気温などの外的要因による熱で、「内熱」はストレスや食生活などの内的要因による熱のことです。夏は気温の高さによる「外熱」に加え、冷たい飲食物の過剰摂取やエアコンによる冷えなどが原因で「内熱」も発生しやすくなります。

トマトはこの両方の熱を和らげる効果があるとされ、まさに夏に最適な「天然のクールダウン食材」と言えるでしょう。外からの暑さと内側の炎症や熱の両方にアプローチできるのは、トマトの大きな魅力なのです。

冷えが気になる人は要注意?”トマトの冷やしすぎ”を防ぐコツ

トマトの冷やす効果は夏には心強い味方ですが、冷え性の方は摂り方に工夫が必要です。冷えを防ぎながらトマトの良さを取り入れるコツを見ていきましょう。

冷え性・虚弱体質には”生のまま”は控えめに

冷え性や胃腸が弱い「虚弱体質」の方は、生のトマトの摂取には注意が必要です。

生のトマトは「涼性」や「寒性」の性質が強く、そのまま多量に摂取すると体を冷やしすぎてしまう恐れがあります。特に冷蔵庫から出したばかりの冷たいトマトは、その冷やす力がさらに増強されます。

こうした体質の方は、生のトマトを少量にとどめ、室温に戻してから食べるなどの工夫をすると良いでしょう。また、後述するような加熱調理や温性食材との組み合わせなども効果的な方法です。

温性食材(生姜・ネギ・にんにく)との組み合わせで中和

トマトを「温性」の食材と組み合わせることで、冷やす力を中和することができます。

生姜、ネギ、にんにくなどの「温性」食材は、体を温める効果があります。これらとトマトを一緒に調理することで、冷やしすぎを防ぎながらトマトの健康効果を得ることができるのです。

例えば、トマトと生姜を使ったスープや、ネギとトマトの炒め物などは、冷え性の方でも比較的安心して楽しめるトマト料理と言えるでしょう。こうした「陰陽のバランス」を考えた食材の組み合わせは、薬膳の基本的な考え方の一つです。

スープや炒め物など”加熱調理”が安心

トマトを加熱調理することも、冷やしすぎを防ぐ有効な方法です。

加熱によりトマトの「涼性」が和らぎ、「平性」に近づくと考えられています。つまり、体に対する冷やす力が穏やかになるのです。煮込みやソテー、スープなどの調理法は、冷え性の方にもおすすめできます。

さらに、先ほど触れたように加熱調理はリコピンの吸収率を高める効果もあるため、栄養面でもメリットがあります。トマトソースやラタトゥイユのような煮込み料理は、トマトの冷やしすぎを防ぎながら、その栄養を効率よく摂取できる理想的な調理法と言えるでしょう。

季節・時間帯に合わせて食べ方を調整しよう

トマトの食べ方は、季節や時間帯によっても調整するとより効果的です。

真夏の昼間であれば、体を適度に冷やす効果を期待して生のトマトを楽しむのも良いでしょう。一方、朝晩の涼しい時間帯や秋口に近づいてくると、加熱調理したトマト料理の方が体に優しいと言えます。

また、冷え性の方は、朝昼晩の食事によっても調整するとよいでしょう。朝は体を温めることを優先して温性の食材と組み合わせ、暑い昼間にはトマトの冷やす力を活かし、夜は再び温性食材との組み合わせや加熱調理を選ぶという具合です。このように状況に応じた「使い分け」も、薬膳の知恵の一つなのです。

夏におすすめ!薬膳的トマトレシピ3選

ここからは、薬膳の考え方を取り入れた具体的なトマトレシピをご紹介していきます。どれも簡単に作れる家庭料理なので、ぜひ試してみてください。

レシピ①:トマトと生姜のあたたかスープ

冷え対策をしながらトマトの効能を引き出す、体に優しいスープです。

【材料(2人分)】

  • トマト:2個(湯むきして一口大に切る)
  • 生姜:1かけ(みじん切り)
  • 玉ねぎ:1/4個(薄切り)
  • オリーブオイル:大さじ1
  • 水:300ml
  • 鶏がらスープの素:小さじ1
  • 塩:少々

【作り方】

  1. 鍋にオリーブオイルを熱し、生姜と玉ねぎを炒めます
  2. しんなりしたらトマトを加え、軽く炒めましょう
  3. 水と鶏がらスープの素を加え、10分ほど煮込みます
  4. 塩で味を調え、お好みでパセリなどを散らして完成です

温性の生姜やオリーブオイルが、トマトの冷やす性質を和らげつつ、トマトの熱さまし効果は残っているので、暑さで疲れた体に特におすすめのスープです。

レシピ②:トマトと梅のさっぱり和え

暑い夏に食欲がない時でも食べやすい、さっぱりとした一品です。

【材料(2人分)】

  • トマト:2個(一口大に切る)
  • きゅうり:1本(薄切り)
  • 梅干し:1個(種を取って細かく刻む)
  • 塩:少々
  • ごま油:小さじ1
  • 白いりごま:小さじ1

【作り方】

  1. きゅうりに塩をふり、しんなりしたら水気を絞りましょう
  2. トマト、きゅうり、梅干しを混ぜ合わせます
  3. ごま油を加えて和え、白いりごまを散らして完成です

トマトときゅうりの冷やす力に、梅の酸味で清熱作用が加わり、ごま油の温性が全体のバランスを整えています。真夏の食欲不振時におすすめの一品で、特に「内熱」による喉の渇きや火照りにも効果的です。

レシピ③:トマト入り麻婆豆腐(冷え対策×巡らせる)

冷え性の方でも安心して食べられる、温性食材をたっぷり使ったトマト料理です。

【材料(2人分)】

  • トマト:1個(一口大に切る)
  • 木綿豆腐:1丁(一口大に切る)
  • 豚ひき肉:100g
  • 長ねぎ:1/2本(みじん切り)
  • にんにく:1かけ(みじん切り)
  • 生姜:1かけ(みじん切り)
  • 豆板醤:小さじ1/2
  • オイスターソース:大さじ1
  • しょうゆ:小さじ2
  • 砂糖:小さじ1/2
  • 水溶き片栗粉:適量

【作り方】

  1. フライパンに油を熱し、ねぎ、にんにく、生姜を炒めて香りを出します
  2. 豚ひき肉を加えて炒め、色が変わったら豆板醤を加えましょう
  3. トマトを加えて軽く炒め、豆腐も加えます
  4. オイスターソース、しょうゆ、砂糖で味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつけたら完成です

ねぎ、にんにく、生姜、豆板醤といった温性の食材がたっぷり入ったこの料理は、トマトと豆腐の冷やす性質を中和してくれます。体を温め、気と血の巡りを良くする効果も期待できるため、冷え性の方にもおすすめの一品です。

トマトを”薬膳的に使う”コツは「組み合わせ」と「調理法」

これらのレシピからわかるように、トマトを薬膳的に活用するコツは「組み合わせる食材」と「調理法」にあります。

生姜やにんにくといった温性の食材との組み合わせは、トマトの冷やす力を和らげつつ、その健康効果は残すという絶妙なバランスを生み出します。また、加熱調理も、トマトの性質を穏やかにする効果的な方法です。

重要なのは、自分の体質や季節、体調に合わせて柔軟に調整することでしょう。トマトの持つ「冷性」を上手に活かしつつ、必要に応じて温性食材との組み合わせや加熱調理を取り入れることで、一年を通じてトマトの恵みを安全に享受することができるのです。

季節や体質に合わせて”賢く選ぶ”薬膳的トマト活用法

トマトの活用法をさらに季節や体質に合わせて詳しく見ていきましょう。状況に応じた「使い分け」のポイントをご紹介します。

【暑さのピーク】→ 生トマトでクールダウン

真夏の暑さがピークの時期には、トマトの「冷やす力」を積極的に活用するのがおすすめです。

この時期は外気温の高さから体内に熱がこもりやすく、火照りや喉の渇き、イライラといった症状が現れやすくなります。そんなときこそ、生のトマトの冷やす力が効果的に働いてくれるのです。

冷蔵庫で冷やしたトマトをそのままかじったり、サラダやサンドイッチに使ったりするのは、夏の暑さ対策として理にかなっています。ただし、暑さのピーク時でも体質的に冷えを感じやすい方は、少量にとどめるか、軽く温性の食材を添えるなどの工夫をするとよいでしょう。

【梅雨〜秋口】→ 温める食材と合わせる

梅雨時や秋口のように気温の変化が大きい時期は、トマトの取り入れ方にも注意が必要です。

この時期は外気温の変化に体がついていかず、自律神経のバランスが崩れやすいものです。そのため、トマトを使う際は温める食材と組み合わせたり、加熱調理を基本にしたりするのがおすすめです。

例えば、前述のトマトと生姜のスープや、トマト入り麻婆豆腐のようなレシピは、この時期に適しています。また、トマトソースのパスタや煮込み料理なども、体を冷やしすぎずにトマトの栄養を取り入れられる良い選択肢となるでしょう。

【胃腸が弱い人】→ 消化しやすく加熱して取り入れる

胃腸が弱い方は、特にトマトの取り入れ方に注意が必要です。

生のトマトは、その酸味や冷やす性質から、胃腸に負担をかけることがあります。また、トマトの皮は消化しにくい部分でもあるため、胃腸の弱い方は皮をむいたり、しっかり加熱したりして食べることをおすすめします。

トマトスープやトマトソースなど、トマトを十分に煮込んだ料理は、消化がしやすく胃腸への負担も少なくなります。また、生姜やコショウなどの消化を助ける温性のスパイスを加えることで、トマトの冷やす力を和らげながら胃腸の働きをサポートする効果も期待できます。

子ども・高齢者には「量・調理法」で配慮を

子どもや高齢者など、体質的に配慮が必要な方へのトマトの与え方にも工夫が必要です。

子どもは大人に比べて「胃腸の力」が未熟なため、生のトマトを大量に与えるのは控えましょう。トマトソースのパスタや煮込みハンバーグなど、しっかり加熱調理したものが適しています。

高齢者の場合は、体が冷えやすく「陽気」が不足しがちなため、トマトを使う際は必ず温性の食材と組み合わせるか加熱調理することをおすすめします。トマトのポタージュや温かいミネストローネなどが良い選択肢となるでしょう。

また、どちらの場合も、トマトの皮や種が気になるようであれば、湯むきしたり裏ごししたりするなどの下処理をすると、より食べやすくなります。こうした細やかな配慮が、薬膳的な「食養生」の精神にも通じるのです。

【もっと知りたい人へ】薬膳でいう「冷性・温性」とは?

最後に、薬膳の基本概念である「冷性・温性」について、もう少し掘り下げて見ていきましょう。これを理解することで、トマトに限らず、様々な食材を体質や季節に合わせて選ぶ力が身につきます。

「冷性」=体の熱を冷ます性質(全てが”悪”ではない)

薬膳でいう「冷性」とは、体に入ったときに熱を冷ます働きを持つ性質のことです。

「冷性」と聞くと、何か悪いものと思われがちですが、決してそうではありません。体内に余分な熱がこもっている状態では、むしろ「冷性」の食材が理想的な選択となります。暑さによる火照りやのぼせ、炎症などには、「冷性」食材の力が必要なのです。

トマトのように「冷性」を持つ食材は、適切なタイミングで適切な量を摂ることで、体のバランスを整える大切な役割を果たします。大切なのは「良い・悪い」という二元論ではなく、自分の体調や季節に合わせた「バランス」なのです。

温性・平性の食材とどうバランスを取るか?

薬膳の基本は、食材の性質を理解した上で、バランスよく組み合わせることにあります。

「温性」の食材(生姜、にんにく、ねぎなど)は体を温め、「平性」の食材(米、豚肉、人参など)は体温にあまり影響を与えません。これらと「冷性」のトマトをどうバランスよく取り入れるかが重要なポイントです。

例えば、冬の寒い時期には「温性」食材を多めにし、「冷性」食材は控えめにするのが基本です。逆に夏の暑い時期には「冷性」食材を積極的に取り入れ、体内の熱を冷ましてあげることが理想的でしょう。

また、もともと冷え性の方は季節を問わず「温性」食材を優先し、「冷性」食材は加熱調理や温性食材との組み合わせを工夫して取り入れると良いでしょう。このように、自分の体質や季節に合わせてバランスを調整していくことが、薬膳の知恵の核心部分なのです。

他の”冷性”野菜との違い(きゅうり・セロリなど)

トマト以外にも「冷性」を持つ野菜は多くあります。きゅうり、セロリ、白菜、レタスなどがその代表例です。

これらの野菜とトマトの大きな違いは、その「味」と「帰経(作用する臓腑)」にあります。例えば、きゅうりはより「寒性」が強く、水分も多いため、より強い冷やす力を持っています。また、セロリは「肺」への作用が強いとされ、トマトとはやや異なる働きを持っているのです。

トマトの特徴は、「甘味」と「酸味」のバランスや、「肝」と「胃」への作用にあります。また、リコピンなどの抗酸化成分を含むことも、他の冷性野菜との違いと言えるでしょう。こうした食材ごとの特性を理解することで、より効果的な組み合わせや活用法が見えてくるのです。

“体質と季節を見て選ぶ”薬膳の基本がここにある

薬膳の最も重要な原則は、「体質と季節を見て食材を選ぶ」という点にあります。

同じトマトでも、暑さで火照った体には生で摂るのが効果的であり、冷え性の方には加熱調理して温性食材と組み合わせるのが理想的です。また、旬の食材を中心に据えることも、薬膳の基本的な考え方です。

この「体質と季節」を軸にした食材選びこそが、薬膳の真髄と言えるでしょう。正解は一つではなく、その時々の体調や環境に応じて柔軟に対応していくことが大切なのです。トマトを通じて学んだこの原則は、他のあらゆる食材選びにも応用できる、普遍的な知恵となるでしょう。

まとめ

トマトは薬膳的には「冷性」の食材ですが、それは単に「避けるべき」というわけではありません。特に夏の暑さで体に熱がこもっている時には、トマトの「熱をさます力」が大いに役立ちます。

体質や季節、体調に合わせて、生で食べたり加熱調理したり、温性食材と組み合わせたりすることで、トマトの健康効果を最大限に引き出すことができるのです。夏にはさっぱりとした生食を、冷え性の方や寒い季節には加熱調理や温性食材との組み合わせを心がけてみてください。

大切なのは「良い・悪い」の二元論ではなく、その時々の体調や季節に合わせて食材を選ぶという薬膳の基本的な考え方です。トマトを「冷性だから避ける」のではなく、その特性を理解した上で、上手に取り入れる知恵を身につけていきましょう。

この記事で紹介したトマトレシピを参考に、ご自身の体質に合わせたトマトの活用法を試してみてください。暑い夏には熱さましのパワーを、冷えが気になる時期には温性食材との組み合わせを工夫することで、一年を通じてトマトの恵みを享受することができるはずです。

トマトに限らず、食材の性質を理解し、体調や季節に合わせて選ぶという薬膳の知恵は、日々の食生活をより豊かで健康的なものにしてくれるでしょう。自分の体に耳を傾けながら、バランスの良い食生活を心がけていきましょう!