「キャベツが胃に良いって聞くけど、どうして?どんな食べ方をすればいいの?」

胃の調子が悪いときに「キャベツを食べなさい」と言われた経験はありませんか。実際、キャベツには胃粘膜を保護する成分が豊富に含まれており、昔から胃腸のトラブルに用いられてきました。

この記事では、キャベツが胃に良い理由を科学的な観点と薬膳の視点から詳しくお話ししていきます。

さらに、あなたの体質や胃の状態に合わせた効果的な食べ方や、相性の良い食材との組み合わせ方もご紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

キャベツが「胃にやさしい」と言われる理由

キャベツが胃に良いとされる理由には、科学的にしっかりとした根拠があります。

その秘密は、キャベツに含まれる特別な成分にあります。ここでは、キャベツの胃への効果を3つの観点から詳しくお伝えしていきます。

キャベツに含まれる「ビタミンU(キャベジン)」の働きとは?

まず注目したいのが「ビタミンU」、別名「キャベジン」と呼ばれる成分です。

この成分は、胃酸の分泌を調整し、胃粘膜の新陳代謝を促進する働きがあります。つまり、傷ついた胃の粘膜を修復し、胃壁を保護してくれるのです。

実際、胃薬の「キャベジン」という商品名も、この成分から名付けられました。

また、ビタミンUは熱に弱い特性があるため、生のキャベツから摂取するのが最も効果的です。

消化酵素「ジアスターゼ」で胃もたれスッキリ

キャベツには「ジアスターゼ」という消化酵素も豊富に含まれています。

この酵素は、でんぷんの分解を助ける働きがあり、食べ物の消化を促進してくれます。そのため、食べすぎや胃もたれを感じているときに、キャベツを食べることで消化がスムーズになるのです。

さらに、ジアスターゼは大根にも含まれていますが、キャベツの方が摂取しやすく、料理のバリエーションも豊富です。

ただし、この消化酵素も熱に弱いため、できるだけ生で食べることをおすすめします。

科学的に証明されているキャベツの胃粘膜保護効果

近年の研究では、キャベツの胃粘膜保護効果が科学的にも証明されています。

特に、キャベツエキスを用いた実験では、胃潰瘍の治癒促進効果が確認されました。また、胃酸過多による胃の炎症を抑制する作用も報告されています。

これらの研究結果により、キャベツは単なる民間療法ではなく、医学的にも認められた胃に優しい食材であることがわかっています。

したがって、胃の不調を感じたときにキャベツを積極的に取り入れることは、理にかなった選択と言えるでしょう。

薬膳の視点から見るキャベツ|性質と働き

薬膳では、すべての食材に独特の性質があると考えられています。

キャベツも例外ではなく、薬膳の観点から見ると非常に興味深い特徴を持っているのです。ここでは、薬膳におけるキャベツの性質と、それが胃腸にどのような影響を与えるかについてお話ししていきます。

キャベツの「性味」とは?(甘味・平性)

薬膳において、キャベツは「甘味」で「平性」の食材に分類されます。

甘味は脾胃(消化器系)を補い、気を生み出す作用があるとされています。つまり、キャベツの甘味成分が胃腸の働きを活発にし、体のエネルギーを増やしてくれるということです。

一方、平性とは体を温めすぎず、冷やしすぎない中庸な性質を意味します。

そのため、体質を選ばず、誰でも安心して食べられる食材として重宝されているのです。このバランスの良い性質が、キャベツを薬膳食材として優秀にしている理由の一つです。

「帰経」は脾・胃。つまりどういうこと?

薬膳では「帰経」という概念があり、これは食材がどの臓腑に特に作用するかを示しています。

キャベツの帰経は「脾・胃」とされており、これは現代医学でいう消化器系全般に働きかけることを意味します。脾は消化吸収を司り、胃は食べ物を受け入れて消化する役割を担っています。

つまり、キャベツは消化器系の機能を整え、食べ物の消化吸収を助ける食材として、薬膳では古くから活用されてきました。

この理論は、現代の栄養学でキャベツが胃に良いとされる理由と、見事に一致しているのです。

キャベツは”健脾和胃”にすぐれた薬膳食材

薬膳用語で「健脾和胃」とは、脾胃の機能を健やかにし、調和を保つことを指します。

キャベツはまさにこの「健脾和胃」の効果に優れた食材なのです。具体的には、消化機能の低下や胃の不調を改善し、食欲を回復させる働きがあります。

また、ストレスや疲労で弱った胃腸を優しく労わり、本来の機能を取り戻すサポートをしてくれます。

このように、キャベツは単に栄養価が高いだけでなく、体全体のバランスを整える薬膳食材として、非常に価値の高い野菜と言えるでしょう。

こんな人におすすめ|キャベツで整えたい胃のタイプとは?

キャベツの胃への効果は万能ですが、特に効果を実感しやすい体質や症状があります。

ここでは、キャベツを積極的に取り入れることをおすすめしたい4つのタイプについてご紹介していきます。あなたの症状と照らし合わせながら読んでみてください。

食べすぎ・飲みすぎで胃が弱っている人

暴飲暴食が続いて胃がもたれている人には、キャベツが特におすすめです。

なぜなら、キャベツに含まれるジアスターゼが消化を助け、胃への負担を軽減してくれるからです。また、ビタミンUが傷ついた胃粘膜の修復を促進します。

さらに、キャベツの食物繊維が腸内環境を整え、消化器系全体の調子を改善してくれます。

この場合は、生のキャベツサラダや千切りキャベツを食事の最初に食べることで、消化酵素の働きを最大限に活用できるでしょう。

ストレスで胃の調子が悪いタイプ

現代人に多いストレス性の胃の不調にも、キャベツは効果的です。

薬膳の考え方では、ストレスは「気」の流れを滞らせ、脾胃の機能を低下させると考えられています。キャベツの甘味と平性の性質が、この乱れた気の流れを整えてくれるのです。

また、キャベツに含まれるビタミンCがストレスに対する抵抗力を高める効果もあります。

ストレス性の胃の不調を感じる場合は、温かく調理したキャベツ料理を心がけることで、体と心の両方を癒すことができます。

胃が冷えやすい・食欲がわかない人

冷え性で胃腸が弱く、食欲不振に悩む人にもキャベツは適しています。

キャベツの平性という性質は、体を極端に冷やすことなく、穏やかに胃腸の働きを活性化してくれます。特に、温かく調理することで、冷えた胃を優しく温める効果が期待できます。

また、キャベツの甘味成分が食欲を刺激し、自然な食欲回復をサポートしてくれます。

このタイプの人は、生のキャベツよりも、スープや煮物などの温かい料理で摂取することをおすすめします。

更年期以降、胃腸が弱くなってきたと感じる人に

年齢を重ねると、消化機能の低下を感じる人が多くなります。

薬膳では、加齢により脾胃の「気」が不足し、消化吸収能力が衰えると考えられています。キャベツの健脾和胃の働きが、この年齢による機能低下をサポートしてくれるのです。

さらに、キャベツに含まれる各種ビタミンやミネラルが、全身の栄養状態を改善し、体力の維持にも貢献します。

更年期以降の方は、消化しやすいように柔らかく煮込んだキャベツ料理を日常的に取り入れることで、胃腸の健康維持に役立てることができるでしょう。

薬膳でキャベツを取り入れるときのポイント

キャベツの効果を最大限に引き出すためには、調理法や食べ方にコツがあります。

ここでは、薬膳の考え方に基づいた効果的なキャベツの活用方法をお伝えしていきます。正しい知識を身につけて、キャベツのパワーを存分に活用してみてください。

「加熱」と「生」、どう違う?目的別に使い分けよう

キャベツは生と加熱で、得られる効果が大きく変わります。

生のキャベツは、ビタミンUやジアスターゼなどの熱に弱い成分を豊富に摂取できるため、胃粘膜の保護や消化促進効果が高まります。食べすぎや胃もたれを感じるときには、生のキャベツが最適です。

一方、加熱したキャベツは消化しやすくなり、胃への負担が軽減されます。

さらに、薬膳の観点では、加熱により体を温める作用が強まるため、冷え性や食欲不振の人には温かく調理したキャベツがおすすめです。このように、目的に応じて調理法を選ぶことが重要なのです。

キャベツの調理で避けたいNG例(冷やしすぎ・油のとりすぎ)

キャベツを食べる際に注意したいポイントがいくつかあります。

まず、冷たすぎる調理法は避けましょう。冷蔵庫から出したばかりの生キャベツや、氷水でさらした千切りキャベツは、胃を冷やしすぎる可能性があります。

また、油を多用した調理法も胃に負担をかけるため、胃の調子が悪いときは控えめにすることが大切です。

特に、揚げ物や油炒めは消化に時間がかかり、胃もたれの原因となることがあります。胃をいたわりたいときは、蒸す、茹でる、煮るといった調理法を選ぶことをおすすめします。

胃が疲れているときの調理法ベスト3

胃の調子が悪いときに特におすすめの調理法を3つご紹介します。

第1位は「蒸す」調理法です。蒸すことでキャベツの甘味が引き出され、消化しやすい状態になります。また、栄養素の流出も最小限に抑えられるため、効率よく成分を摂取できます。

第2位は「煮込む」調理法で、スープや鍋料理として取り入れる方法です。

長時間煮込むことで繊維が柔らかくなり、胃への負担が大幅に軽減されます。第3位は「茹でる」調理法で、短時間の茹で加減により、適度な食感を保ちながら消化しやすさを実現できるでしょう。

キャベツと相性の良い薬膳食材と組み合わせ例

キャベツの効果をさらに高めるには、相性の良い食材と組み合わせることが重要です。

薬膳では、食材同士の相乗効果を活用して、より大きな健康効果を得ることができます。ここでは、キャベツと特に相性の良い食材と、具体的な組み合わせ例をご紹介していきます。

身体を温めてくれる食材(しょうが・ねぎ・味噌など)

キャベツの平性という特徴を活かすため、体を温める食材との組み合わせが効果的です。

しょうがは体を温める代表的な薬膳食材で、キャベツと一緒に摂ることで消化機能をさらに高めてくれます。また、ねぎの辛温の性質がキャベツの甘味と調和し、胃腸の働きを活性化します。

味噌も発酵食品として腸内環境を整える効果があり、キャベツとの相性は抜群です。

具体的には、キャベツとしょうがの炒め物や、ねぎとキャベツの味噌汁などが代表的な組み合わせ例として挙げられます。これらの食材を組み合わせることで、より効果的に胃腸をいたわることができるでしょう。

気を補い、胃腸を助ける食材(鶏肉・豆腐・米)

薬膳では「補気」という概念があり、体のエネルギーを補う食材との組み合わせも重要です。

鶏肉は気を補い、胃腸の働きを助ける優秀な食材です。キャベツと鶏肉を一緒に摂ることで、消化機能の向上と体力回復の両方が期待できます。

豆腐は植物性タンパク質が豊富で、消化しやすく胃に優しい食材です。

また、米(お粥)は脾胃を補う基本的な薬膳食材として、キャベツとの相性も良好です。これらの食材を組み合わせることで、弱った胃腸を穏やかに回復させることができます。

胃にやさしいおすすめの献立例(スープ/鍋/お粥)

実際の献立例として、3つのパターンをご提案します。

まず「キャベツと鶏肉の薬膳スープ」は、キャベツ、鶏肉、しょうが、ねぎを煮込んだ栄養満点のスープです。体を温めながら胃腸をいたわることができます。

次に「キャベツたっぷり豆腐鍋」は、豆腐、キャベツ、きのこ類を味噌ベースで煮込んだ鍋料理です。

最後は「キャベツと鶏肉のお粥」で、消化の良いお粥にキャベツと鶏肉を加えた優しい一品です。どの献立も胃に負担をかけず、必要な栄養素をしっかりと摂取できる理想的な組み合わせと言えるでしょう。

もっと知りたい人へ|胃にやさしい薬膳レシピと参考図書

ここまでキャベツの薬膳的活用法についてお話ししてきましたが、実際に作れる具体的なレシピも知りたいですよね。

また、薬膳についてもっと深く学びたい方のために、おすすめの参考図書もご紹介していきます。日々の食生活に薬膳の知恵を取り入れて、健康的な毎日を送ってみてください!

キャベツと鶏肉のやさしい薬膳スープ

胃が疲れているときにぴったりの、消化に良いスープレシピをご紹介します。

材料は、キャベツ4枚、鶏もも肉100g、しょうが1片、長ねぎ1/2本、水600ml、鶏がらスープの素小さじ1、塩少々です。

作り方は、まず鶏肉を一口大に切り、キャベツはざく切りにします。

しょうがは薄切り、ねぎは斜め切りにしておきましょう。鍋に水と鶏がらスープの素を入れて火にかけ、沸騰したら鶏肉としょうがを加えて15分煮込みます。その後キャベツとねぎを加えて5分煮込み、最後に塩で味を整えれば完成です。

ストレス胃に効く|キャベツ×豆腐のとろみあん

ストレスで胃の調子が悪いときにおすすめの、優しい味のあんかけ料理です。

材料は、キャベツ3枚、絹豆腐1/2丁、しいたけ2個、片栗粉大さじ1、だし汁300ml、薄口醤油大さじ1、みりん小さじ1です。

まず、豆腐は食べやすい大きさに切り、キャベツとしいたけも一口大に切ります。

鍋にだし汁を入れて火にかけ、沸騰したら豆腐、キャベツ、しいたけを加えて5分煮込みましょう。水溶き片栗粉でとろみをつけ、薄口醤油とみりんで優しく味付けしたら完成です。とろみがあることで胃への刺激が少なく、消化もスムーズになります。

薬膳初心者におすすめの本・サイト・YouTube

薬膳についてもっと学びたい方のために、信頼できる情報源をご紹介します。

書籍では「薬膳・漢方検定公式テキスト」が基礎知識を体系的に学べるのでおすすめです。また、「毎日の食材で薬膳レシピ」は実践的なレシピが豊富で、日常に取り入れやすい内容になっています。

WEBサイトでは、日本薬膳学会の公式サイトが正確な情報を提供しています。

YouTubeでは「薬膳料理研究家」のチャンネルが、わかりやすい解説と実用的なレシピを配信しているので参考にしてみてください。これらの情報源を活用して、薬膳の奥深い世界をぜひ探求してみてください!

まとめ

キャベツは科学的にも薬膳的にも、胃にやさしい優秀な食材であることがおわかりいただけたでしょうか。

ビタミンUやジアスターゼなどの有効成分が胃粘膜を保護し、消化を助けてくれる一方で、薬膳では健脾和胃の効果により胃腸全体の調子を整えてくれます。

あなたの体質や胃の状態に合わせて、生で食べるか加熱するかを使い分け、相性の良い食材と組み合わせることで、より大きな効果を実感できるはずです。

胃の不調に悩んでいる方は、まず身近なキャベツから薬膳生活を始めてみることをおすすめします。毎日の食事にキャベツを上手に取り入れて、健やかな胃腸を手に入れてくださいね!