薬膳とは?中国料理との違いを分かりやすく解説!

「薬膳って中国料理の一種なの?それとも全く別物?違いがよくわからないから詳しく知りたい!」

薬膳と聞くと、中国料理を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

確かに薬膳は中国発祥ですが、実は中国料理とイコールではありません。両者には明確な違いがあるのです。

・薬膳とは何か基本を知りたい
・薬膳と中国料理の違いを理解したい
・薬膳が中国料理だけではない理由を知りたい

など、薬膳と中国料理の違いについて知りたいこともあるでしょう。

そういうわけで今回は、『薬膳とは何か』という基本から、『中国料理との違い』、そして『薬膳の本質』まで詳しくお伝えしていきます。それでは早速みていきましょう!

薬膳とは?基本の考え方を理解しよう

薬膳とは、中医学の理論に基づいた食事療法のことです。

体質や体調、季節に応じて食材を選び、体のバランスを整えることで健康維持や病気予防を目指します。中医学では「医食同源」という考え方があり、食べ物と薬の源は同じという思想が根底にあるのです。

薬膳の歴史は約3000年以上前に遡ります。

紀元前1000年頃の周王朝時代には、すでに「食医」という官職が設けられていました。食医は日々の食事を通して帝王の健康を管理調整する者として、医療職の中では最も高い位とされていたのです。

実際、古代中国では医者を工と呼び、上工・中工・下工という分け方をしていました。

上工は病気になりそうなことを事前に察し、未病のうちに健康の調整をする医者のこと。中工は病気になってから治療を施し、下工は重病になってから手を施す医者です。

つまり、日常の食事で健康を調整し未病にあたる食医が最も位が高く、敬意が注がれていました。

また、薬膳という言葉自体は1980年頃に使われ始めたものです。

それ以前は「食療」「食補」「食養」と呼ばれていました。ですが、その考え方は長い歴史の中で培われてきたもので、現代では医療体系化された経験医学であり予防医学として世界中で注目されています。

薬膳の基本には「未病を治す」という考え方があります。

未病とは病気ではないけれど何となく不調を感じる状態のことで、体がだるい、よく眠れない、手足が冷えるといった症状が該当するもの。薬膳では、この未病の状態を食事によって改善していくことを重視しているのです!

中国料理とは?その特徴を知ろう

まず、中国料理の特徴を理解することが、薬膳との違いを知る第一歩です。

中国料理は、長い歴史の中で発展してきた世界三大料理の一つ。地域によって様々なスタイルがあり、それぞれ独特の調理法や味わいを持っています。

中国料理の最大の特徴は、味と見た目の美しさを追求することにあります。

火力を活かした炒め物や、丁寧に仕込まれた点心、長時間煮込んだスープなど、調理技術の高さが光る料理ばかりです。また、豊富な調味料を使い分け、辛味・甘味・酸味・塩味・苦味の五味をバランスよく組み合わせます。

北京料理、上海料理、広東料理、四川料理という四大料理が代表的。

それぞれの地域の気候や食材に合わせて発展してきました。北京料理は宮廷料理の流れをくみ、上海料理は甘めの味付けが特徴です。

広東料理は海鮮を活かした料理が多く、四川料理は辛味が効いた料理で知られています。

また、中国料理では「熱炒」と呼ばれる高温での調理が特徴的。

強い火力で短時間に仕上げることで、食材の旨味や栄養を閉じ込めます。この技術は中国料理ならではのもので、家庭では真似しにくい本格的な味わいを生み出しているのです。

さらに、中国料理は「食べて楽しむ」ことを重視しています。

宴会文化が発達しており、大皿に盛られた料理を囲んで語らうスタイルが一般的。おいしさと華やかさで食卓を彩り、人々を楽しませることが中国料理の大きな役割といえるでしょう!

薬膳と中国料理の決定的な違い

ここからは、薬膳と中国料理の決定的な違いをお伝えしていきます。

両者の違いを理解することで、薬膳の本質がより明確になるはずです。

目的の違い:美味しさvs健康効果

薬膳と中国料理の最大の違いは、その目的にあります。

中国料理の主な目的は、美味しくて見た目にも美しい料理を提供することです。味わいや食感、香り、彩りなど、食事を楽しむための要素を重視しています。

一方、薬膳の目的は健康維持や病気予防、体質改善です。

もちろん美味しさも大切にしていますが、何よりも体にどのような効果をもたらすかを考えて作られます。なぜなら、薬膳は中医学理論に基づいた食事療法であり、食べる人の体質や体調に合わせて食材を選ぶ必要があるからです。

例えば、同じ鶏肉を使った料理でも考え方が異なります。

中国料理では、どう調理すれば最も美味しくなるかを追求。ですが薬膳では、鶏肉が持つ気を補う働きや体を温める性質を活かし、その人の体質に合った食材と組み合わせていくのです。

つまり、中国料理は「いかに美味しく食べるか」を重視し、薬膳は「いかに体に良い効果をもたらすか」を重視している料理といえるでしょう!

食材選びの基準の違い

食材選びの基準も、薬膳と中国料理では大きく異なります。

中国料理では、旬の食材や高級食材、調理に適した食材を選びます。味や食感、調理法との相性を考えて食材を組み合わせることが基本です。

一方、薬膳では食材の持つ性質や効能を最優先に考えます。

体を温める食材なのか冷やす食材なのか、どの臓器に働きかける食材なのかを判断。中医学では食材を「寒・涼・平・温・熱」の五性と「酸・苦・甘・辛・鹹」の五味で分類し、体質や季節に合わせて選んでいくのです。

例えば、冷え性の方には体を温める「温」や「熱」の性質を持つ食材を選びます。

生姜、ニンニク、羊肉、かぼちゃなどがこれに該当。反対に、のぼせやすい方には体を冷やす「寒」や「涼」の性質を持つきゅうりやトマトが適しています。

また、季節によっても食材選びが変わってくるのが薬膳の特徴。

春は肝の働きを高める食材、夏は体の熱を取り除く食材、秋は肺を潤す食材、冬は体を温め腎を補う食材を選びます。このように、食材選びの基準が体質と季節という医学的な視点に基づいているのが薬膳なのです!

調理法の違い

調理法においても、薬膳と中国料理には違いがあります。

中国料理では、強火で短時間に炒める「熱炒」や、高度な技術を要する調理法が特徴的です。味付けも豊富な調味料を使い、複雑で奥深い味わいを作り出します。

薬膳の調理法は、食材の薬効を最大限に引き出すことを重視。

じっくりと煮込むスープや粥、蒸し料理など、食材の効能を失わない調理法が選ばれます。実際、薬膳では薬の成分を引き出すために、長時間煮込んだスープや粥などが多く作られているのです。

また、生薬を使用する場合もあります。

クコの実、ナツメ、山芋の乾燥品、龍眼などの生薬を料理に加えることで、より高い健康効果を期待できます。ただし、薬膳で使われる生薬は「上品」と呼ばれる効果が穏やかで副作用のないものが中心。

毎日食べても問題なく、料理の味を大きく損なわないものが選ばれています。

このように、中国料理が技術と味わいを追求するのに対し、薬膳は食材の持つ力を最大限に活かす調理法を選んでいるのです!

薬膳=中国料理ではない理由

多くの方が誤解していることですが、薬膳は中国料理と同じではありません。

ここでは、なぜ薬膳が中国料理だけに限定されないのかをお伝えしていきます。

薬膳はあらゆる料理スタイルに展開できる

薬膳の本質は、中医学理論による食の組み立てとその調理法を指すものです。

そのため、薬膳イコール中国料理というわけではありません。実際、薬膳は日本料理でもイタリア料理でもフランス料理でも、すべての料理に展開できる食事療法なのです。

例えば、日本料理で薬膳を実践することも十分可能。

味噌汁に体を温める生姜を加えたり、煮物に気を補う鶏肉と血行を促進するネギを使ったりするのも薬膳の考え方。冷奴に生姜を添えるという日本の食文化も、実は薬膳の知恵が活きている例といえるでしょう。

イタリア料理でも薬膳の考え方を取り入れられます。

トマトは体の熱を取り除く性質を持つため、夏のパスタ料理に最適な食材。ニンニクとオリーブオイルは血行を促進する働きがあるので、これらを使ったペペロンチーノも薬膳的な観点から理にかなっているのです。

つまり、薬膳とは料理のジャンルではなく、食材の性質を理解して体に合わせて組み合わせる「考え方」や「方法論」。

中国料理という形式に縛られることなく、世界中のあらゆる料理で実践できるのが薬膳の素晴らしさなのです!

身近な食材で薬膳は実践できる

薬膳には特別な中国食材や生薬が必要だと思われがちですが、実はそうではありません。

スーパーで買える身近な食材だけでも、十分に薬膳を実践できます。なぜなら、すべての食物に薬膳の効果があるというのが薬膳の思想だからです。

季節の野菜を選ぶことも立派な薬膳実践の一つ。

夏になると苦瓜やトマト、スイカなどの作物が収穫されますが、これらの夏野菜は体の熱をとる性質があり熱中症予防など暑い季節の体温調節を行います。逆に冬はニラやネギ、根菜類が体の中の冷えや寒さを取り除き、巡りをよくする効果を持っているのです。

また、日本人にとってなじみ深い食材も薬膳食材として優秀。

大根には消化を助ける働きがあり、山芋は気を補う効果が期待できます。きのこ類は免疫力を高め、海藻類は体の余分な熱を取り除く作用があるとされているもの。

これらは全て、普通のスーパーで手に入る食材ばかりです。

このように、特別な食材や中国料理の調理技術がなくても、薬膳の考え方を理解すれば日常生活で実践できます。地元の物産館で季節の農産物を選ぶことも、薬膳食養生へとつながっていくのです!

「美味しさ」も薬膳の重要な要素

薬膳に対して「薬くさい」「まずそう」というイメージを持つ方もいるでしょう。

ですが、これは大きな誤解です。薬膳の基本は「体に合った美味しい食事」であり、美味しくなければ毎日食べていけるものではありません。

実際、薬膳師はこう答えます。

「薬膳は、目的を持って美味しく調理した料理です」と。薬くさいのなら薬として煎じ薬で飲めばよいのであって、わざわざ調理する必要はないという考え方なのです。

薬膳は肉も魚も油も使い、味付けもしっかり行います。

健康とは心身ともに健やかで元気に活動できる状態を指すため、薬膳は気力と体力を増強するスタミナ食という一面も兼ね備えているのです。季節やその日の体調に合わせて選んだ食材をおいしく摂取することで、体を内側から整えていきます。

中国料理のレストランで提供される薬膳料理が美味しいのも、この考え方が活きている証拠。

美味しく食べられて、なおかつ体に良い効果をもたらす。これこそが薬膳の目指す理想の形なのです!

薬膳と中国料理の関係性

ここまで違いを強調してきましたが、薬膳と中国料理には深い関係性もあります。

両者の関係性を理解することで、薬膳への理解がさらに深まるはずです。

中国料理の中に薬膳的要素がある

中国料理の中には、薬膳的な考え方が自然と取り入れられているものも多くあります。

長い歴史の中で、美味しさと健康効果を両立させる工夫が積み重ねられてきたからです。代表的なものとして、杏仁豆腐が挙げられるでしょう。

杏仁豆腐は滋養強壮や美容効果の高い杏の種の白い部分を使っています。

仕上げにはクコの実が添えられており、見た目にも可愛らしい一品です。美味しいデザートとして親しまれていますが、実は薬膳的な効能も備えているのです。

また、中国料理でよく使われるスープも薬膳的な要素を持っています。

鶏ガラをじっくり煮込んだスープは、気を補い体を温める効果が期待できるもの。八角やシナモンなどのスパイスも、単に香りづけだけでなく血行促進や消化促進といった効能を持っているのです。

このように、中国料理には元々薬膳的な知恵が組み込まれています。

ただし、あくまでも美味しさを追求する中で結果的に健康効果も備わっているのであって、体質改善や病気予防を第一の目的としているわけではありません。ここが純粋な薬膳との違いといえるでしょう!

薬膳料理専門店と一般的な中国料理店

薬膳料理を専門に提供するレストランと、一般的な中国料理店には明確な違いがあります。

薬膳料理専門店では、お客様の体質や体調をヒアリングした上で、その人に合った料理を提供することも。メニューに各料理の効能が記載されていることも多く、健康を意識した選択ができるようになっています。

一方、一般的な中国料理店は美味しさを優先してメニューを構成。

結果的に健康に良い食材が使われていても、それは薬膳としての効能を意識したものではない場合がほとんどです。ただし、最近では健康志向の高まりから、薬膳メニューを取り入れる中国料理店も増えてきています。

また、家庭で実践する場合は両者の良いところを取り入れることも可能。

中国料理の調理技術を活かしながら、薬膳の考え方で食材を選ぶという方法です。例えば、麻婆豆腐を作る際に、体を温める効果のある豆板醤や花椒を意識的に使えば、美味しくて体も温まる薬膳料理になります。

このように、薬膳と中国料理は別物でありながらも、上手に組み合わせることができるのです!

薬膳を正しく理解して実践するために

薬膳と中国料理の違いを理解したところで、実践するためのポイントをお伝えしていきます。

正しい知識を持つことで、薬膳をより効果的に日常生活に取り入れられるはずです。

自分の体質を知ることが第一歩

薬膳を実践する上で最も大切なのは、自分の体質を知ることです。

中医学では、代表的な体質として陰虚、気虚、気滞、血虚、血瘀などが定義されています。それぞれの体質によって、適した食材や避けるべき食材が異なるのです。

冷え症が気になる人に体の熱を逃がす効果のある食材を組み合わせると問題があります。

保温に必要な熱まで奪ってしまう可能性があるので、体質に合っているとは言えません。同じ料理でも体質によって合う合わないがあり、それを見極めて料理を作ることが大切なのです。

自分の体質を知る方法として、日々の体調観察が有効。

疲れやすいか、冷えやすいか、イライラしやすいか、肌が乾燥しやすいかなど、自分の傾向を把握してみてください。より正確に知りたい場合は、中医学の専門家に相談することをおすすめします!

季節と体調に合わせた食材選び

薬膳では、季節に合わせた食材選びも重要なポイントです。

旬を迎えた食材には、気候に合った効能が備わっているとされています。冬の時期の旬を迎える食材には体の中から温まる効果があるものが多く、春にかけては免疫力の高まる食材や苦みのある食材が多くなるのです。

また、その日の体調に応じて食材を選ぶことも大切。

風邪のひき始めには体を温める生姜やネギ、胃の調子が悪いときには消化を助ける大根、疲れているときには気を補う鶏肉や山芋を選びます。このように、柔軟に食材を組み合わせていくことが薬膳実践のコツといえるでしょう。

毎日3回、美味しいと思う食事が365日続けば、幸せな時間を積み重ねていることになります。

そこに薬膳の知恵があれば、健康も同時に積み重ねていけるのです!

無理なく続けられる方法を見つける

薬膳を続けるコツは、完璧を目指さないことです。

毎食すべてを薬膳にする必要はなく、1日1食あるいは週に数回取り入れるだけでも効果は期待できます。最初から理論を完璧に理解しようとせず、できることから少しずつ始めてみることをおすすめします。

例えば、普段の味噌汁にネギを多めに入れるだけでも薬膳的な工夫。

炒め物ににんにくや生姜を加える、旬の野菜を意識的に選ぶなど、小さなことから始められます。特別な食材や難しい調理法は必要なく、普段の食事にちょっとした工夫を加えるだけで十分なのです。

また、中国料理店で薬膳メニューを楽しむのも一つの方法。

専門店では、本格的な薬膳料理を美味しく食べられます。外食で薬膳を体験しながら、家庭でも取り入れられそうなアイデアを見つけていくのも良いでしょう。

無理なく楽しみながら続けていくことが、薬膳を生活に定着させる秘訣です!

まとめ

今回は、薬膳とは何か、そして中国料理との違いについてお伝えしてきました。

薬膳とは中医学理論に基づいた食事療法で、体質や体調、季節に合わせて食材を選び、健康維持や病気予防を目的としています。一方、中国料理は美味しさと見た目の美しさを追求する料理ジャンルです。

両者の最大の違いは、その目的にあります。

中国料理が「いかに美味しく食べるか」を重視するのに対し、薬膳は「いかに体に良い効果をもたらすか」を重視。食材選びの基準も、中国料理では味や調理との相性を考えるのに対し、薬膳では食材の性質や効能を最優先に考えます。

重要なのは、薬膳は中国料理と同じではないということ。

薬膳は中医学理論による食の組み立てと調理法を指すものなので、日本料理でもイタリア料理でもすべての料理に展開できる食事療法なのです。スーパーで買える身近な食材だけでも十分実践できますし、美味しさも薬膳の重要な要素として大切にされています。

薬膳を実践するには、まず自分の体質を知り、季節と体調に合わせた食材選びを心がけることが大切です。

完璧を目指さず、できることから少しずつ始めてみてください。普段の食事にちょっとした工夫を加えるだけで、薬膳の考え方を取り入れられます。

薬膳と中国料理の違いを正しく理解して、あなたの生活に合った方法で健康的な食生活を送っていきましょう!