「薬膳で生活習慣病は予防できるの?」「未病って何?」そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
生活習慣病は、日々の食生活や生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気です。そのため、日常的な食事の見直しが予防に大きく関わってきます。
この記事では、東洋医学の「未病」という考え方を踏まえながら、薬膳による生活習慣病予防のアプローチについて詳しくお伝えしていきます。食事を通じた予防的な体づくりのヒントが見えてくるはずです!
生活習慣病はなぜ起こる?薬膳が「予防」に向いている理由

生活習慣病と聞くと、「ある日突然なる病気」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし実際には、長年の生活習慣の積み重ねが体に影響を与え、徐々に進行していく病気です。
ここでは、生活習慣病がなぜ起こるのか、そして薬膳が予防に向いているとされる理由についてお話ししていきます!
生活習慣病が「突然起こる病気ではない」理由
生活習慣病とは、食生活、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスといった日常の生活習慣が原因となって発症する病気の総称です。
代表的なものには、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満などがあります。これらは、ある日突然発症するのではなく、長い時間をかけて少しずつ体の状態が変化していくことで起こります。
たとえば、甘いものや脂っこいものを食べ続けると、最初は数値に変化がなくても、やがて血糖値や中性脂肪が上がり始めます。
このように、生活習慣病は日々の積み重ねの結果として現れるため、逆に言えば、日常の生活習慣を見直すことで予防できる可能性があるのです。
食生活の積み重ねが体に与える影響
食事は、毎日何度も繰り返される行為です。
そのため、何を食べるかという選択の積み重ねが、長期的に見ると体に大きな影響を与えます。たとえば、毎日のように糖質や脂質の多い食事を続けると、体はそれを処理しきれず、余分なものが蓄積されていきます。
逆に、体に負担をかけない食事、体の状態に合った食事を続けることで、体のバランスが整いやすくなります。
この「積み重ね」という視点が、生活習慣病予防において非常に重要です。一度や二度の食事で大きな変化は起きませんが、毎日の選択が積み重なることで、体は確実に変わっていきます。
薬膳が予防に向いているとされる背景
薬膳は、東洋医学の「治未病」という考え方を基にしており、病気になる前の段階で体を整えることを重視しています。
生活習慣病は、まさに「病気になる前」の段階で対処することが最も効果的な病気です。そのため、日常的に取り入れられる薬膳のアプローチは、予防という視点で非常に相性が良いのです。
また、薬膳は体質や状態に合わせて食材を選ぶため、一律の食事制限ではなく、その人に合った無理のない調整ができるという点も、長く続けやすい理由といえます。
このように、日常の食生活に取り入れやすく、体のバランスを整える考え方を持つ薬膳は、生活習慣病予防に向いているとされているのです。
薬膳が重視する予防の考え方|東洋医学の「未病」と生活習慣病

薬膳の予防アプローチを理解するには、東洋医学の「未病」という考え方を知っておく必要があります。
未病とは、病気ではないけれど健康でもない状態のこと。この段階で体を整えることが、生活習慣病予防にもつながります。
ここからは、未病という考え方と、生活習慣病との関係についてお話ししていきます!
「未病」とは何か|症状が出る前に整えるという発想
未病とは、文字通り「未だ病まざる」状態を指します。
つまり、病気と診断されるほどではないけれど、なんとなく調子が悪い、疲れやすい、だるい、冷えるといった、小さな不調がある状態のことです。
東洋医学では、この未病の段階で体のバランスを整えることが、病気を予防する上で最も重要だと考えられています。なぜなら、未病を放置すると、やがて本格的な病気へと進行する可能性があるからです。
生活習慣病も、最初は健康診断の数値がわずかに高い程度から始まります。この段階こそが、まさに未病の状態といえます。
したがって、症状が出る前、数値が大きく悪化する前に、食事や生活習慣を見直すことが、生活習慣病予防の鍵となるのです。
数値だけでは分からない体の変化をどう捉えるか
西洋医学では、血液検査やその他の検査結果の数値をもとに、病気かどうかを判断します。
しかし、数値が基準値内であっても、「なんとなく調子が悪い」「疲れが取れない」と感じることはあるはずです。
東洋医学では、こうした自覚症状や体感を重視します。たとえば、疲れやすい、手足が冷える、胃がもたれやすい、イライラしやすいといった変化は、数値には現れなくても、体のバランスが崩れ始めているサインと捉えるのです。
薬膳では、こうした小さなサインを見逃さず、食事を通じて体を整えていきます。数値が悪化する前に対処することで、生活習慣病を未然に防ぐことができるのです。
西洋医学の予防と東洋医学の予防の違い
西洋医学における予防は、主に病気のリスク因子を減らすアプローチが中心です。
たとえば、血圧を下げる、血糖値をコントロールする、コレステロールを減らすといった、数値の管理が重視されます。
一方、東洋医学の予防は、体全体のバランスを整えるという視点です。数値だけでなく、その人の体質、生活習慣、季節、環境なども含めて総合的に判断し、体を整えていきます。
どちらが優れているという話ではなく、両者は補完的な関係にあります。西洋医学の予防と東洋医学の予防、両方の視点を持つことで、より包括的な生活習慣病予防が可能になるのです。
生活習慣病予防のために、薬膳では何を見て食事を選ぶのか

薬膳では、単に「健康に良い食材」を選ぶのではなく、その人の状態に合わせて食材を選びます。
生活習慣病予防においても、この個別性が重要です。
ここでは、薬膳がどのような判断軸で食事を選ぶのかについてお伝えしていきます!
薬膳で重視される「体質・状態・季節」という判断軸
薬膳では、食事を選ぶ際に「体質」「状態」「季節」という3つの判断軸を重視します。
まず体質とは、その人が持って生まれた傾向や、長年の生活習慣で形成された体の特徴のこと。たとえば、太りやすいか痩せやすいか、暑がりか寒がりか、胃腸が強いか弱いかといった違いです。
次に状態とは、今現在の体調や不調のこと。疲れているのか、ストレスが溜まっているのか、食べ過ぎて胃がもたれているのかなど、その時々で変化します。
そして季節とは、気候や環境の変化。夏と冬では体に必要な食材が変わりますし、湿度が高い時期と乾燥する時期でも、適した食事は異なります。
この3つの視点を総合的に判断することで、その人に合った食事が見えてくるのです。
同じ食事でも合う・合わないが分かれる理由
「生活習慣病予防には野菜中心の食事がいい」という一般的なアドバイスがあります。
しかし薬膳では、同じ野菜でも、その人の体質や状態によって合う・合わないが分かれると考えます。
たとえば、トマトやきゅうりは体を冷やす性質があるため、冷え性の人が冬に大量に食べると、逆に体調を崩す可能性があります。一方、暑がりで熱がこもりやすい人には、適した食材といえます。
このように、「誰にでも良い食材」という視点ではなく、「その人に合っているか」を判断することが、薬膳の特徴です。
生活習慣病予防においても、一律の食事ではなく、自分の体質や状態に合った食事を選ぶことが大切なのです。
栄養制限とは異なる、薬膳的な食事の考え方
生活習慣病予防というと、「糖質制限」「脂質制限」「塩分制限」といった栄養制限をイメージする人も多いかもしれません。
しかし薬膳では、単に特定の栄養素を制限するのではなく、体のバランスを整えるという視点で食事を考えます。
たとえば、甘いものを食べすぎて胃腸に負担がかかっている場合、単に糖質を減らすだけでなく、消化を助ける食材を取り入れたり、胃腸を休める工夫をしたりします。
また、脂っこいものが続いた場合は、体内の余分な脂を排出しやすい食材を選ぶといった考え方です。
このように、「何かを制限する」よりも「体を整える」という発想が、薬膳的なアプローチの特徴といえます。無理なく続けられるという点でも、この考え方は有効です。
生活習慣病タイプ別に考える、薬膳的な食事アプローチの方向性

生活習慣病には、糖尿病、脂質異常症、高血圧など、さまざまなタイプがあります。
薬膳では、それぞれのタイプに応じて、食事のアプローチの方向性が変わってきます。
ここでは、タイプ別に考える薬膳的な食事の方向性についてお話ししていきます。なお、この章では具体的な食材名ではなく、考え方の方向性に留めることで、安全性と汎用性を確保しています!
糖代謝が気になる場合の薬膳的な考え方
糖代謝が気になる場合、薬膳では「脾」の働きを整えることを重視します。
東洋医学では、「脾」は消化吸収を司る臓腑とされており、脾の働きが弱ると、糖の代謝もうまくいかないと考えられているからです。
したがって、脾を補い、消化機能を整えるような食事の方向性が基本となります。また、甘いものや味の濃いものを控え、体に余分な湿気や熱を溜めないことも大切です。
さらに、食べすぎや早食いを避け、規則正しい食事のリズムを保つことも、薬膳的には重要なポイントとされています。
このように、単に糖質を減らすだけでなく、消化機能全体を整えるという視点が、薬膳のアプローチといえます。
脂質異常や肥満が気になる場合の方向性
脂質異常や肥満が気になる場合、薬膳では「痰湿」という概念を用いて考えます。
痰湿とは、体内に余分な水分や脂肪が溜まった状態のこと。これが蓄積すると、体が重だるくなったり、代謝が悪くなったりします。
この場合、体内の余分なものを排出しやすくする方向性が基本です。また、脂っこいものや味の濃いもの、甘いものを控え、痰湿を増やさないことも重要です。
さらに、適度な運動を取り入れて気血の巡りを促すことも、薬膳的には推奨されています。
このように、体内の不要なものを溜めない、排出しやすくするという視点が、薬膳のアプローチといえます。
血圧や血流を意識したい場合の考え方
血圧や血流が気になる場合、薬膳では「気血の巡り」を整えることを重視します。
東洋医学では、気血がスムーズに巡っていることが健康の基本とされており、巡りが悪くなると、さまざまな不調につながると考えられているからです。
したがって、気血の巡りを促す方向性が基本となります。また、ストレスや緊張が気血の巡りを妨げるため、リラックスできる環境を整えることも大切です。
さらに、塩分の摂りすぎを避け、体に余分な熱や湿気を溜めないことも、血圧管理において重要とされています。
このように、血圧の数値だけでなく、体全体の巡りを整えるという視点が、薬膳のアプローチといえます。
無理なく続けるためのポイント|生活習慣病予防は食事だけではない

生活習慣病予防において、食事は確かに重要な要素です。
しかし、食事だけで何とかしようとすると、かえって無理が生じてしまいます。
ここでは、無理なく続けるためのポイントと、食事以外の要素についてもお話ししていきます!
食事だけで何とかしようとしないことが大切な理由
「生活習慣病予防のために、食事を完璧にしなければ」と思い詰めてしまう人がいます。
しかし、食事だけに注力しすぎると、ストレスが溜まり、かえって長続きしません。また、食事以外の要素も生活習慣病に大きく関わっているため、食事だけでは不十分なのです。
たとえば、どれだけ食事に気をつけていても、運動不足が続けば代謝は落ちますし、睡眠不足が続けば体のバランスは崩れます。
したがって、食事はあくまで生活習慣の一部として捉え、他の要素とのバランスを取ることが大切です。完璧を目指さず、できる範囲で続けることが、生活習慣病予防の鍵といえます。
運動・睡眠・ストレス管理を薬膳的にどう考えるか
東洋医学では、健康を保つために「飲食有節、起居有常、不妄作労」という考え方があります。
これは、食事を節度を持って摂り、規則正しい生活を送り、無理をしすぎないという意味です。つまり、食事だけでなく、生活全体のバランスが重要とされているのです。
運動については、激しすぎる運動は逆に体を消耗させるため、適度な運動を日常的に取り入れることが推奨されています。散歩や軽いストレッチなど、無理なく続けられるものが理想です。
睡眠については、夜は陰の時間とされ、体を休め、エネルギーを蓄える時間。十分な睡眠を取ることで、体のバランスが整いやすくなります。
ストレス管理については、気の巡りを妨げる最大の要因がストレスとされています。リラックスできる時間を持つことも、薬膳的には重要な養生といえます。
完璧を目指さず、調整し続けるという発想
生活習慣病予防は、一度やれば終わりというものではありません。
体は常に変化していますし、季節や環境、ライフステージによっても、必要な食事や生活習慣は変わります。
したがって、「完璧な食事を続ける」ことを目指すのではなく、「その時々の自分に合わせて調整し続ける」という発想が大切です。
たとえば、食べすぎた日があれば、翌日は胃腸を休める。疲れが溜まったら、睡眠を多めに取る。このように、柔軟に調整していくことが、薬膳的なアプローチといえます。
無理なく、長く続けることが何より大切です。完璧を目指さず、少しずつ調整しながら、自分の体と向き合っていくことをオススメします!
薬膳で生活習慣病予防を考える際の注意点と、医療との正しい向き合い方

ここまで、薬膳による生活習慣病予防のアプローチについてお話ししてきました。
しかし、薬膳を実践する際には、いくつか注意すべき点があります。
最後に、薬膳と医療の関係、そして安全に実践するためのポイントをお伝えしていきます!
薬膳は医療の代替ではないという前提
薬膳は、生活習慣病の予防や日常的な体調管理に役立つアプローチです。
しかし、薬膳は医療行為ではありません。したがって、既に生活習慣病と診断されている場合や、治療が必要な状態の場合は、必ず医療機関での治療を受けることが前提となります。
薬膳はあくまで、医療を補完するものとして、日常生活の中で取り入れるものと理解しておきましょう。
また、薬膳だけで病気を治そうとすることは危険です。医師の指示を守りながら、補助的に薬膳の考え方を取り入れるという姿勢が大切です。
持病や服薬がある場合に意識したい考え方
既に生活習慣病で治療を受けている方や、薬を服用している方は、食材によっては薬の効果に影響を与える可能性があります。
たとえば、血圧の薬を飲んでいる場合、血圧に影響を与える食材を大量に摂取すると、薬の効き方が変わることもあります。
したがって、持病や服薬がある場合は、主治医や薬剤師に相談してから、薬膳を取り入れることをオススメします。
また、自己判断で薬をやめて薬膳だけに頼ることは絶対に避けてください。薬膳は医療の代わりにはならないという前提を忘れずに、適切な範囲で活用することが大切です。
不安なときは専門家に相談するという選択肢
薬膳を始めようとすると、「自分の体質が分からない」「どの食材を選べばいいか分からない」と不安に感じることもあるかもしれません。
そのような場合は、薬膳の専門家や東洋医学の専門家に相談するのも一つの方法です。専門家に体質や状態を見てもらうことで、より的確なアドバイスを得られます。
また、生活習慣病のリスクが高い場合や、既に数値が気になる場合は、医療機関で定期的に検査を受けることも大切です。
薬膳は、専門家の助言や医療機関での検査と組み合わせることで、より安全に、効果的に活用できます。不安なときは一人で抱え込まず、専門家に相談してみることをオススメします!
まとめ

生活習慣病は、日々の生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気であり、予防には日常的な食事の見直しが重要です。
薬膳は、東洋医学の「未病」という考え方に基づき、病気になる前の段階で体を整えることを重視しています。そのため、生活習慣病予防に向いているアプローチといえます。
薬膳では、体質・状態・季節という判断軸をもとに、その人に合った食事を選びます。栄養制限とは異なり、体全体のバランスを整えるという視点が特徴です。
また、食事だけでなく、運動・睡眠・ストレス管理といった生活全体のバランスを取ることも大切です。
薬膳は医療の代替ではなく、あくまで予防や日常的な体調管理のためのものです。持病や服薬がある場合は、医師に相談しながら取り入れましょう。
無理なく、少しずつ調整しながら、自分の体と向き合っていくことをオススメします!

