# 薬膳の基本「五味・五性」とは?意味・働き・使い方をやさしく解説
「薬膳を学びたいけど、五味とか五性とか難しそう……」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
五味・五性は、薬膳における食材の性質を理解するための基本的な考え方です。
しかし、難しい理論を暗記する必要はなく、「この食材は体をどう動かすのか」を知る道具として使えば十分。
この記事では、五味・五性の基本的な意味や働き、実際の食事への落とし込み方まで、初心者にも分かりやすくお伝えしていきます。
薬膳をもっと身近に感じられるヒントを、ぜひ掴んでみてください!
薬膳における「五味・五性」とは?まず押さえたい基本の考え方

五味・五性は、薬膳を実践するうえで最も基本となる考え方です。
まずは、この二つがどういうものなのか、なぜ重視されるのかについて詳しくお話ししていきます。
五味・五性は「味覚」や「温度」の話だけではない
五味・五性という言葉を聞くと、単なる味の種類や食材の温度だと思われがちです。
しかし実際には、食材が体の中でどのように働くかを示す指標。
味覚や温度感覚はあくまで目安であり、本質は「体への作用」にあります。
たとえば、五味の「辛味」は舌がピリッとする感覚だけでなく、気を巡らせて発散させる働きを持つということ。
五性の「温」は、食べたときに温かいかどうかではなく、体の内側から温める性質があるという意味です。
このように、五味・五性は体との関係性を読み解くための薬膳独自の視点といえるでしょう。
味や温度はヒントにはなりますが、それだけで判断しないことが大切です!
薬膳で五味・五性が重視される理由
薬膳において五味・五性が重視されるのは、食材選びの明確な基準になるからです。
なぜなら、体調や季節に合わせて「どの働きが必要か」を考えたとき、五味・五性という枠組みがあると判断しやすくなるため。
たとえば、冷えを感じているなら五性が「温」や「熱」の食材を選び、体に熱がこもっているなら「涼」や「寒」の食材を取り入れる。
また、気の巡りが悪いなら五味の「辛味」を、体が乾燥しているなら「甘味」を意識するといった具合です。
このように、五味・五性を知っていると、漠然と「体にいいもの」を探すのではなく、「今の自分に必要なもの」を的確に選べるようになります。
薬膳を実践的に使いこなすための、シンプルで強力な道具といえるでしょう!
覚えるためではなく、使うための考え方
五味・五性を学ぶとき、すべての食材の分類を暗記しようとする必要はありません。
大切なのは、「この食材はこういう働きがあるんだな」と理解し、必要なときに調べて使えるようにしておくこと。
実際、薬膳の専門家でも、すべての食材の性質を完璧に記憶しているわけではないのです。
よく使う食材の特徴を押さえつつ、必要に応じて資料を確認しながら実践しています。
たとえば、生姜が「温・辛」で体を温めて気を巡らせることや、トマトが「涼・甘酸」で体を冷まして潤すことを知っていれば、それだけでも日々の食事に活かせるでしょう。
少しずつ実践しながら、よく使う食材から覚えていけば十分です!
五味の基本|それぞれの味が体に与える働き

五味とは、食材の味を5つに分類し、それぞれの体への働きを示す考え方です。
ここでは、五味の構成要素や、各味が持つ基本的な作用、バランスよく取り入れる方法についてお伝えしていきます。
五味とは何か(酸・苦・甘・辛・鹹)
五味は、食材の味を「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ)」の5つに分類したものです。
鹹味とは、塩辛い味のこと。
これら5つの味は、それぞれ異なる働きを持ち、体の特定の部分や機能に影響を与えます。
薬膳では、この五味を意識することで、体のどこをどう整えたいかに応じて食材を選べるのです。
たとえば、酸味は肝に入り、苦味は心に入る、甘味は脾に入るといった対応関係があります。
ただし、最初からすべてを覚える必要はなく、まずはそれぞれの基本的な作用を理解することが大切です。
五味を知ることで、食材選びの幅が大きく広がります!
酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味の基本的な作用
それぞれの味には、特有の働きがあります。
酸味は、収斂(しゅうれん)作用を持ち、体から漏れ出るものを引き締める働きがあるのです。
汗のかきすぎや下痢、頻尿などを抑える効果が期待できます。
梅干しやレモン、酢などが代表例です。
苦味は、熱を冷まし、余分な水分を乾かす作用があります。
体に熱がこもっているときや、湿気が多い季節に役立つでしょう。
ゴーヤやお茶、セロリなどが該当します。
甘味は、気を補い、体を緩めて潤す働きを持つ味です。
疲労回復や緊張の緩和、乾燥対策に適しています。
米や芋類、果物などに多く含まれます。
辛味は、気を巡らせて発散させる作用があります。
停滞したものを動かし、体を温める効果もあるため、冷えや気の滞りに有効です。
生姜やねぎ、にんにくなどがこれに当たります。
鹹味は、硬いものを柔らかくし、下に降ろす働きがあります。
便秘やしこり、むくみなどに対応できるでしょう。
塩や海藻、貝類などが代表的です。
このように、各味の特徴を知ることで、目的に合わせた食材選びができるようになります!
五味をバランスよく取り入れる考え方
五味は、どれか一つに偏るのではなく、バランスよく取り入れることが大切です。
なぜなら、特定の味ばかりを摂っていると、その作用が過剰になり、体のバランスが崩れるから。
たとえば、酸味ばかり摂ると引き締めすぎて気の巡りが悪くなり、辛味ばかり摂ると発散しすぎて気が消耗します。
甘味の摂りすぎは湿を生み、鹹味の摂りすぎは腎に負担をかけるでしょう。
理想は、1食の中、あるいは1日の食事全体で、五味がまんべんなく含まれている状態です。
とはいえ、毎食完璧を目指す必要はありません。
「今日は酸味が少なかったから、明日は梅干しを添えよう」といった程度の意識で十分です。
自然とバランスが整うように、いろいろな味を楽しむことを心がけてみてください!
五性の基本|体を温める・冷やすという考え方

五性は、食材が体を温めるか冷やすかを示す考え方です。
ここでは、五性の構成要素や、温める・冷やす食材の違い、体調や季節に応じた選び方についてお話ししていきます。
五性とは何か(寒・涼・平・温・熱)
五性は、食材を「寒・涼・平・温・熱」の5つに分類したものです。
寒と涼は体を冷やす性質、温と熱は体を温める性質を持ちます。
平は、どちらにも偏らない穏やかな性質です。
この分類により、今の体が必要としている温度調整を食事で行えます。
たとえば、冷え性の人は温や熱の食材を多めに取り入れ、のぼせやすい人は涼や寒の食材を選ぶといった具合です。
五性は、体温調節だけでなく、体内の熱バランスを整えるという視点で捉えるといいでしょう。
季節や体調に合わせて使い分けることで、体を自然な状態に保てます!
体を温める食材・冷やす食材の違い
体を温める食材と冷やす食材には、いくつかの特徴があります。
温める食材(温・熱)は、色が濃く、味が濃いものが多いのです。
生姜、にんにく、唐辛子、羊肉、シナモンなどが該当します。
また、寒い地域で育つものや、地中で育つ根菜類も温める傾向があります。
一方、冷やす食材(寒・涼)は、色が薄く、水分が多いものが多いのが特徴です。
きゅうり、トマト、レタス、バナナ、緑茶などがこれに当たります。
暑い地域で育つものや、地上で育つ葉物野菜も冷やす傾向があるでしょう。
平性の食材は、米、じゃがいも、豆腐、きのこ類など、日常的によく使うものに多く見られます。
これらは体への刺激が少なく、どんな体質の人でも食べやすいのが利点です。
このように、食材の見た目や育ち方からも、ある程度性質を推測できます!
体調や季節に応じた五性の選び方
五性を選ぶときは、体調と季節の両方を考慮することが大切です。
冷え性で冬の寒さに弱い人なら、温や熱の食材を中心に選ぶといいでしょう。
逆に、暑がりで夏にのぼせやすい人は、涼や寒の食材を取り入れると快適に過ごせます。
ただし、季節だけで判断するのは危険です。
たとえば夏でも、冷房で体が冷えている人は温める食材が必要になります。
また、冬でも暖房が効きすぎて体に熱がこもっている場合は、涼性の食材で調整したほうがいいでしょう。
さらに、体調の変化にも柔軟に対応することが重要です。
風邪の引き始めで寒気がするなら温める食材を、発熱して熱っぽいなら冷ます食材を選びます。
このように、固定的に考えず、その時々の体と環境を見ながら選ぶことが、五性を上手に使うコツです!
五味と五性はどう組み合わせて使う?実践的な考え方

五味と五性は、それぞれ単独で使うよりも、組み合わせて考えることで効果を発揮します。
ここでは、二つをセットで考える基本や、実際の食材選びの手順、献立全体で整える発想についてお伝えしていきます。
五味と五性はセットで考えるのが基本
五味と五性は、常にセットで存在し、互いに補い合う関係にあります。
たとえば、生姜は「辛味・温」という組み合わせです。
辛味が気を巡らせ、温性が体を温めるため、冷えによる気の滞りに非常に効果的。
一方、トマトは「甘味・酸味・涼」を持ちます。
甘味と酸味が体を潤し、涼性が熱を冷ますため、夏の暑さや体の火照りに適しているのです。
このように、五味と五性を組み合わせて見ることで、その食材がどんな状況に向いているかがより明確になります。
食材を選ぶときは、「どんな味で、どんな温度特性か」の両方を意識すると、より的確な判断ができるでしょう!
食材を選ぶときのシンプルな判断手順
実際に食材を選ぶときは、以下のような手順で考えるとスムーズです。
まず、今の自分の状態を確認します。
冷えているか、熱っぽいか、気が滞っているか、乾燥しているかなど、体の様子を観察しましょう。
次に、五性で方向性を決めます。
冷えているなら温や熱、熱っぽいなら涼や寒、どちらでもないなら平を基本に選ぶといいでしょう。
そして、五味で具体的な作用を選びます。
気を巡らせたいなら辛味、潤したいなら甘味、引き締めたいなら酸味といった具合です。
最後に、その条件に合う食材を思い浮かべるか、資料で調べて選びます。
この手順を踏むことで、迷わずに適切な食材にたどり着けるはずです!
献立全体で整えるという発想
五味・五性のバランスは、一つの料理だけでなく、献立全体で整えるという発想が大切です。
たとえば、主菜で温性の羊肉を使ったら、副菜で平性の野菜を添えて緩和する。
辛味の多い料理には、甘味のご飯や酸味の漬物を合わせてバランスを取るといった具合です。
このように、一食の中で極端に偏らないように調整することで、体への負担が減り、穏やかに作用します。
また、1日単位で考えるのも有効です。
朝食で温める食材を多く摂ったなら、夕食は平性中心にするなど、時間をかけてバランスを整えてもいいでしょう。
完璧を目指すのではなく、「全体として偏りすぎていないか」を意識することが、続けるコツです!
初心者がつまずきやすい五味・五性の勘違いと注意点

五味・五性を実践するうえで、陥りがちな勘違いや落とし穴があります。
ここでは、温めすぎの問題や、偏った食材選びのリスク、体調や環境を無視する危険性についてお話ししていきます。
「体を温めれば良い」と思い込みすぎる落とし穴
冷え性の人は、「とにかく温める食材を食べよう」と考えがちです。
しかし、温める食材ばかりを摂り続けると、体に熱がこもりすぎてしまいます。
その結果、のぼせや口の渇き、肌荒れ、イライラなどが起こることもあるでしょう。
特に、もともと上半身に熱がこもりやすい人が温性食材を摂りすぎると、症状が悪化する可能性があります。
大切なのは、「冷えている部分を温める」という意識を持ちつつ、全身のバランスを見ること。
たとえば、下半身は冷えているけれど顔は火照るという人は、温める食材だけでなく、気を下に降ろす鹹味や、平性の食材も組み合わせるといいでしょう。
温めることが目的ではなく、体全体が調和することが目的だと忘れないでください!
五味・五性に偏りすぎてしまうケース
「この食材が体にいい」と知ると、つい毎日同じものばかり食べたくなるかもしれません。
しかし、特定の五味・五性に偏った食事を続けるのは、かえって体のバランスを崩す原因になります。
たとえば、辛味の食材ばかり食べていると、気を発散させすぎて疲れやすくなったり、胃が荒れたりすることがあるのです。
甘味ばかり摂ると、湿が溜まってむくみや消化不良を引き起こすでしょう。
どんなに優れた食材でも、偏れば害になり得ます。
だからこそ、五味・五性をバランスよく取り入れることが重要です。
一つの食材に頼るのではなく、いろいろな食材を組み合わせて、自然と調和が取れるようにしていきましょう!
体調や環境を無視してしまう危険性
五味・五性の理論を学ぶと、つい「教科書通りに食べれば大丈夫」と思ってしまうことがあります。
しかし、体調や環境を無視して理論だけで食材を選ぶのは危険です。
たとえば、「冬だから温める食材を」と思っても、暖房の効いた部屋で過ごしている人には、かえって熱がこもりすぎるかもしれません。
また、同じ冷え性でも、運動不足による冷えと、消化力の低下による冷えでは、必要な食材が異なります。
大切なのは、理論を参考にしつつ、今の自分の体や置かれた環境をよく観察すること。
体が発するサインを無視して、理論だけで押し通すのは本末転倒です。
「こう食べるべき」ではなく、「今の自分に何が必要か」を常に問いかけながら実践してみてください!
五味・五性を日常の食事に落とし込むシンプルな方法

五味・五性は、理論として理解するだけでなく、実際の食事に取り入れてこそ意味があります。
ここでは、スーパーで買える食材への当てはめ方や、献立での整え方、続けるためのポイントについてお伝えしていきます。
スーパーで買える食材への当てはめ方
五味・五性を実践するために、特別な食材を探す必要はありません。
普段スーパーで買う食材の性質を知るだけで、十分に活用できます。
たとえば、生姜は「辛・温」、大根は「甘・辛・平」、トマトは「甘・酸・涼」、鶏肉は「甘・温」、豆腐は「甘・涼」といった具合です。
これらを覚えておけば、冷えているときは生姜や鶏肉、暑いときはトマトや豆腐といった選び方ができるでしょう。
最初から全部覚える必要はなく、よく使う食材から少しずつ覚えていけば大丈夫です。
また、食材の性質を調べられるアプリや本を一冊手元に置いておくと、買い物中にも確認できて便利。
まずは身近な10〜20種類の食材から始めてみることをおすすめします!
汁物・主菜・副菜で無理なく整えるコツ
五味・五性のバランスは、汁物・主菜・副菜という献立の構成を使うと整えやすくなります。
たとえば、主菜で温性の肉を使ったら、副菜で平性や涼性の野菜を添える。
汁物には、五味がバランスよく入るように、複数の食材を組み合わせるといった具合です。
具体的には、生姜とねぎの温かいスープ(辛・温)に、白菜や豆腐(甘・平〜涼)を加えることで、温めながらも偏りすぎないバランスが取れます。
また、酢の物や漬物を添えることで、酸味を補えるでしょう。
ご飯は甘味・平なので、どんな献立にも合わせやすい基本食材です。
このように、一汁三菜の形を意識すると、自然と五味・五性が整いやすくなります!
続けるために意識したいポイント
五味・五性を日常に取り入れるうえで、続けるためのポイントがあります。
まず、完璧を目指さないこと。
毎食すべてをバランスよく整えようとすると疲れてしまうため、1日単位、あるいは数日単位で調整する気持ちで十分です。
次に、体の変化を楽しむこと。
「今日は温める食材を多めにしたら、体がポカポカして調子がいい」といった小さな変化に気づくと、実践が楽しくなります。
そして、難しく考えすぎないこと。
五味・五性は道具であり、使いこなすための知識です。
理論にがんじがらめにならず、「だいたいこんな感じ」という感覚で取り入れてみましょう。
最後に、自分の体の声を最優先にすること。
理論よりも、実際に食べたときの体の反応を大切にすれば、自然と適切な選択ができるようになります!
まとめ

五味・五性は、食材が体にどう働くかを示す薬膳の基本的な考え方です。
五味は酸・苦・甘・辛・鹹の5つの味で体への作用を分類し、五性は寒・涼・平・温・熱の5つで温度特性を示します。
これらをセットで考えることで、体調や季節に合わせた食材選びがしやすくなるのです。
ただし、「温めればいい」と思い込んだり、特定の味に偏ったりするのは逆効果。
体調や環境を無視せず、献立全体でバランスを整える意識が大切です。
スーパーで買える身近な食材でも十分実践でき、汁物・主菜・副菜を組み合わせることで無理なく五味・五性を整えられます。
完璧を目指さず、まずはよく使う食材の性質から覚えて、少しずつ日々の食事に取り入れてみてください!



