薬膳の五味(酸・苦・甘・辛・鹹)をやさしく解説|五臓との関係と使い分けが一目でわかる入門ガイド

「薬膳の五味って何だろう……味の種類は知っているけど、体への働きがよくわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
薬膳には、味には「体への作用」があるという考え方があり、その中で基本的なものとして「五味」があります。この五味を理解することで、食材の選び方や組み合わせのポイントが見えてきます。
この記事では、五味の基本的な意味や五臓との関係、さらに過剰に摂りすぎた場合の影響まで丁寧にお伝えしていきます。季節や体調との組み合わせも取り上げるので、ぜひ最後まで読んでみてください!

五味とは何か?薬膳で考える「味」と「働き」の基本

薬膳には「食べ物の味には体への作用がある」という基本的な考え方があります。
この「味」と「働き」の関係を理解しておくことが、五味の入口になっています。まずはこちらの基本から見ていきましょう。

五味は「味覚」ではなく「体への作用」を示す考え方

薬膳や東洋医学の五味とは、「その食材が体にどんな作用を与えるか」を表現するためのものです。
つまり、舌で感じる味覚とは少し異なる視点で捉えられているということのこと。
たとえば「甘い」という五味には「体を補う」という作用があり、「辛い」には「体の中を巡らせる」という作用があるとされています。
このように、五味はあくまで「食材の体への影響」を分類するための言葉です。

五味が生まれた背景と薬膳での位置づけ

五味は「五行」という東洋医学の基本的な考え方に基づいて生まれた分類です。
五行には「木・火・土・金・水」という5つの要素があり、それぞれに対応する味や臓器などが割り当てられています。
この組み合わせが「五味」という考え方の土台になっていて、薬膳では食材の選び方にも活用されています。
したがって五味は、薬膳の理論の中でも「食べ物と体の関係」を理解するためのポイントです。

実際の味と五味の分類が一致しないことがある理由

実は「五味」の分類と「実際に感じる味」が合わないケースもあります。
なぜかというと、五味はあくまで「体への作用」を基準にして分類されているからです。
たとえば「実際には甘くないように感じる食材」であっても、体への作用として「甘」に分類されることがあります。
このように「舌の感覚」と「五味の分類」は別の視点であることを覚えておくと、五味がわかりやすくなります。

酸・苦・甘・辛・鹹の意味と五臓との関係

五味には「酸・苦・甘・辛・鹹」という5つがあり、それぞれに対応する臓器があります。
この対応関係を知っておくと、各味がどこに働きかけるかが見えてきます。一緒に確認していきましょう。

五味と五臓(肝・心・脾・肺・腎)の対応関係

東洋医学では、体には「肝・心・脾・肺・腎」という5つの臓器があり、それぞれに対応する味があるとされています。
具体的には、「酸」は肝に、「苦」は心に、「甘」は脾に、「辛」は肺に、「鹹」は腎に対応していると言われています。
つまり、たとえば「酸味の食材」は「肝の働きに関係する」という考え方になっています。
この対応関係が、五味と五臓をつなぐ基本的な視点です。

「鹹(かん)」とは何か?読み方と意味

五味の中で「鹹」という言葉に見舶になる方もいます。
「鹹」の読み方は「かん」で、「塩辛い・しょっぱい」という味のことです。
日常的には「塩味」と呼ばれることが多いが、薬膳では「鹹」という表現で分類されています。
この「鹹」には「やわらかくする」という体への作用があり、腎に関係する味とされているのです。

五味と五行のつながりをどう理解すればよいか

五味と五行のつながりは「対応表」のような関係で理解しておくと分かりやすいです。
木行には「酸」と「肝」が対応し、火行には「苦」と「心」が対応するというように、それぞれがセットで組み合わせられています。
ただし、この対応関係は「絶対に正確」というよりも「全体のバランスを考えるためのヒント」として捉えるのが、現実的な活用方法です。
まず大きな組み合わせの流れを把握しておくことで、五味の活用が自然とわかりやすくなります。

五味それぞれの働きとは?体にどう作用するのか

ここまで五味の全体像を見てきました。
次に、各味がそれぞれどんな体への作用を持っているかを一つずつ見ていきます。ぜひ参考にしてみてください!

酸の働き|引き締める・漏れを防ぐ

「酸」には「引き締める」という体への作用があるとされています。
たとえば体の中から何かが漏れやすい状態のときに、酸味の食材を取り入れることで「まとめる」方向へ働きやすくなります。
また「収束する」という性質もあり、体のエネルギーを内側に向かわせる効果が期待されています。
ただし取り入れすぎると「詰まりすぎる」ケースもある。そのため適度な量を意識することが大切です。

苦の働き|熱を冷ます・余分を乾かす

「苦」には「体の中の熱を冷やす」という作用があるとされています。
さらに「余分な湿気を乾かす」という性質もあり、体の中のスッキリ感を取り戻す方向へ働きやすい味です。
熱や湿気が過剰にある体の状態のときに、苦味の食材は特に有効とされています。
ただし「乾かしすぎる」場合もある。したがって体の状態に合わせて量を調整することが重要です。

甘の働き|補う・緊張をゆるめる

「甘」には「体を補う」という基本的な作用があるとされています。
エネルギーが足りていない状態や、体がいつも緊張しているように感じるときに、甘味の食材は「和らげる」方向へ働きやすい。
ただし、甘味は「過剰に摂りすぎると体の中に湿気が増える」とされているため、量には特に注意が必要です。
つまり「少しずつ、バランスよく」取り入れることが、甘の活用のポイントです。

辛の働き|巡らせる・発散させる

「辛」には「体の中を巡らせる」という作用があるとされています。
何かが詰まっている感じがするときに、辛味の食材を少し添えると「流れを促す」方向へ働きやすくなります。
さらに「発散する」という性質もあり、体の中に蓄まっている熱やストレスを外へ放り出す力があるとされています。
ただし辛味は「体を温める」側に強い作用がある。したがって冷えやすい方には少量でも効果が出やすいです。

鹹の働き|やわらかくする・腎と関係する

「鹹」には「体の中のものをやわらかくする」という作用があるとされています。
何かが「固まっている・詰まっている」と感じる場合に、鹹味の食材は「解く」方向へ働きやすい。
さらに「腎」に関係する味であり、腎の働きに影響を与える視点でも重要な味とされています。
ただし取り入れすぎると「塩分過多」になりやすいため、量には特に注意しましょう!

五味別・代表的な食材と取り入れ方の考え方

五味それぞれの働きを見てきました。
続いて「実際にどんな食材がどの五味に当てはまるのか」という具体的な例を取り上げていきます。参考にしてみてください!

五味別に見た代表的な食材例

まず「酸」には梅・トマト・柑橘類などが代表的です。
次に「苦」には菊苣・にっきゃく・ゴヤ・ピーマンなどが当てはまります。
そして「甘」には米・さまざまな果物・サツマイモなどが代表的で、「辛」にはショウガ・ニンニク・チリペッパーなどが当てはまります。
最後に「鹹」には海带・味噌・醤油・海の食材などが代表的です。

味付けだけでなく「食材選び」で五味を考える

五味を活用するときは「味付けの種類」だけでなく「食材そのもの」にも視点を当てることが大切です。
なぜかというと、食材には「もともと持っている五味の性質」があるからです。
たとえば「塩味にはなっていないが、五味としては鹹に分類される食材」も存在します。
つまり「食材を選ぶ時点」から五味を意識していくことが、薬膳の食事づくりのポイントです。

毎食すべての五味をそろえなくてよい理由

五味を知っておくと「毎食すべて揃えなければ」と感じる方も多いが、実はそれは必要ありません。
なぜかというと、五味は「今の体の状態に合わせて」考えるものだからです。
たとえば体が冷えている場合は「辛」や「甘」の食材を意識的に添えるのが自然であり、全部揃えるよりも「今に合う味」を選んでみることが大切です。
このように「無理せず、今の体に合わせて」取り入れていくことが、五味の楽しい活用です。

五味はとりすぎ注意|過剰摂取で起こりやすい不調

五味には体への良い作用がある一方で「取り入れすぎると不調になりやすい」という視点もあります。
この注意点も知っておくことが、五味を賢く活用するためのポイントです。一緒に確認していきましょう。

甘いものの摂りすぎで起こりやすい不調

「甘」には「補う」という良い作用がある一方で、摂りすぎると「体の中に湿気が増える」ことがあるとされています。
湿気が増えると「体が重く感じる」や「消化がうまくいかない」という傾向が出やすくなります。
したがって「甘味の食材は少しずつ、バランスよく」取り入れることが、over摂取を防ぐためのポイントです。

辛い・塩辛いものを摂りすぎた場合の影響

「辛」には「巡らせる」という作用がある一方で、摂りすぎると「体の中が熱になりすぎる」傾向があります。
さらに「鹹」も摂りすぎると「体の中の水分のバランスが崩れる」とされているため、塩辛いものも過剰には注意が必要です。
特に辛い食材と塩辛い食材を同時に多く取り入れると、体への負担が出やすくなります。
したがって「辛」や「鹹」も「少しずつ」という意識で食べていくことが大切です。

五味は「足す」より「偏りを戻す」意識が大切

五味を活用するときの基本的な考え方は「足す」よりも「偏りを戻す」です。
たとえば「辛いものを食べすぎて熱になった」と感じる場合は「冷やす」方向の食材を添えて、バランスを戻す方向へ考えていきます。
つまり「今の体の状態に何が足りていて、何が多すぎるのか」を見つけて調整していくことが、五味の賢い活用のポイントです。

五味を体調・季節・他の薬膳理論とどう組み合わせるか【次に知りたくなる視点】

最後に「五味をさらに活用していくためのヒント」を取り上げていきます。
体調や季節との組み合わせの考え方を見ていきましょう。

体調に合わせて意識したい五味の考え方

体調の状態によって「今意識したい五味」は変わっていきます。
たとえば体が冷えている場合は「辛」の食材を少し添えて、体の中を巡らせる方向へ意識してみることが自然です。
一方で熱がある感覚がある場合は「苦」の食材を組み合わせて、熱を和らげる方向へ考えていきます。
このように「今の体調」と「五味の作用」を合わせて考えることが、食事づくりのポイントです。

季節によって五味のバランスをどう変えるか

季節によっても「体に合う五味」は変わっていきます。
たとえば春は「酸」の食材を少し意識したい季節であり、夏は「苦」の食材が体に合いやすい季節とされています。
さらに秋には「辛」、冬には「鹹」や「甘」の食材が体調に合わせて活用されるケースがあります。
季節に合わせて五味のバランスを少しずつ変えていくことが、薬膳の自然なポイントです。

五性(温冷)・帰経と合わせて使うときのヒント

五味には、さらに「五性(温冷の性質)」や「帰経(体の中の経絡や臓器への影響)」という視点も組み合わせて考えることができます。
たとえば「辛の食材」であっても「温性」か「涼性」かで、体への影響が大きく変わります。
さらに「帰経」という視点では「その食材がどの臓器に働きかけるか」がわかるようになります。
これらの視点を少しずつ取り入れていくことで、薬膳の食事づくりがさらに幅広くなっていきます。ぜひ無理せず一つずつ学んでみてください!

まとめ

本記事では薬膳の「五味」という考え方を踏まえて、各味の体への作用や五臓との関係、そして活用のポイントをお伝えしてきました。
五味には「酸・苦・甘・辛・鹹」という5つがあり、それぞれに「体への作用」と「対応する臓器」がある。この視点を「今の体調」や「季節」と合わせて考えることで、食材の選び方がより自然とわかっていきます。
まず「今の体調に合う味」を少しずつ意識してみる手軽なところから始めてみてください。無理せず続けていくことが、五味の楽しい入口になっています!