薬膳の食性とは?分類方法と選び方をやさしく解説|五性・五味・帰経の使い分けがわかる

「薬膳で食材を選ぶときに『食性』って何を見ればいいんだろう……」と感じている方も多いのではないでしょうか。
薬膳には「食性」という考え方があり、食材が体にどんな影響を与えるかを分類する視点です。この食性を理解しておくことで、自分の体に合う食材を選びやすくなります。
この記事では、食性の基本的な意味や分類方法、さらに実践での選び方まで丁寧にお伝えしていきます。五性・五味・帰経の使い分けも取り上げるので、ぜひ最後まで読んでみてください!

薬膳における「食性」とは?分類の目的を整理する

まず「食性」とは何を表す言葉なのかを整理していきます。
この基本を押さえておくことで、食性の使い方がわかりやすくなります。

食性とは何を表す考え方か

食性とは、薬膳や中医学の考え方で「食材が体にどんな影響を与えるか」を表現するための言葉です。
単に「何が入っているか」という栄養成分ではなく、「食べたときに体がどう反応するか」という視点で捉えられています。
たとえば「体を温める」や「体を冷やす」「気を補う」といった性質が、食性として分類されています。
つまり食性は「食材の体への作用」を理解するための基本的なポイントです。

食性は「体への影響」を分類したもの

食性の分類は「体への影響」を基準にして作られています。
たとえば「温める性質」があるものは「温性」に分類され、「冷やす性質」があるものは「寒性」に分類されます。
さらに「どんな味がするか」や「どの臓器に働きかけるか」といった視点も、食性の分類に含まれています。
このように、食性は「食材を栄養素ではなく、体への働きで分ける」という独自の視点です。

食性を知ると食材選びが楽になる理由

食性を知っておくと「今の体に合う食材」を選びやすくなります。
なぜかというと、食性には「体の状態に合わせて食材を選ぶ」という明確な基準があるからです。
たとえば「体が冷えている」と感じるときは「温性」の食材を選び、「体に熱がこもっている」と感じるときは「涼性」の食材を選ぶという判断ができます。
このように、食性は「食材選びの迷い」を減らすためのガイドです。

食性は絶対ではなく目安であるという前提

食性は便利な視点ですが「絶対的なルール」ではなく「目安」として捉えることが大切です。
なぜかというと、食性の分類には「調理法」や「食べる量」「個人の体質」によって変わる部分もあるからです。
したがって「食性に書かれているとおりにしなければならない」のではなく「参考にしながら、自分の体の反応を見る」という柔軟な姿勢が大切です。
この「目安として使う」という視点が、食性を無理なく活用するためのポイントです。

食性を分ける基本軸①|五性(熱・温・平・涼・寒)

食性の基本的な分類方法として、まず「五性」という視点があります。
ここでは、五性の意味や使い方を見ていきましょう。

五性とは|体を温める・冷やす性質の分類

五性とは「食材が体を温めるか冷やすか」という性質を5つに分類するためのものです。
具体的には「熱・温・平・涼・寒」という5つがあり、それぞれに体への影響が異なります。
「熱」と「温」には体を温める性質があり、「涼」と「寒」には体を冷やす性質があります。
そして「平」には「温めるでも冷やすでもない」バランスの取れた性質があるとされています。

「熱・温・涼・寒・平」の違いと強さの考え方

五性には「強さの違い」があります。
「熱」には「強く温める」性質があり、「温」には「穏やかに温める」性質があります。
同様に「寒」には「強く冷やす」性質があり、「涼」には「穏やかに冷やす」性質があります。
したがって「熱性」や「寒性」の食材は取り入れすぎに注意が必要で、「温性」や「涼性」の食材は比較的使いやすいという違いがあります。

平性の役割と使いやすさ

「平性」には「温めるでも冷やすでもない」という性質があります。
この平性の食材は「毎日取り入れても偏りが出にくい」ため、日常の食事の基盤として非常に使いやすいです。
たとえば「米」や「卵」といった平性の食材は、どんな体質の人でも安心して食べやすい。
したがって「迷ったら平性の食材を中心にする」という選び方が、安全で無理のない方法です。

微温・微寒など中間的な食性について

五性には「微温」や「微寒」といった中間的な分類もあります。
「微温」には「わずかに温める」という意味があり、「微寒」には「わずかに冷やす」という意味があります。
これらは「温性・寒性ほど強くない」ため、使いやすさと効果のバランスが取れています。
ただし「微温・微寒」は資料によって表記が異なることもあるため、まず「熱・温・平・涼・寒」の5つを基本として押さえておくことが大切です。

食性を分ける基本軸②|五味(酸・苦・甘・辛・鹹)の働き

五性の次に、もう1つの基本的な分類として「五味」があります。
ここでは、五味の意味や働きを見ていきます。

五味とは味覚ではなく「作用」の分類

五味とは「食材の味」ではなく「食材の体への作用」を5つに分類するためのものです。
具体的には「酸・苦・甘・辛・鹹」という5つがあり、それぞれに独自の働きがあるとされています。
たとえば「実際には甘くない食材」であっても、体への作用として「甘」に分類されることがあります。
つまり五味は「舌で感じる味」とは別の視点で捉えられているということです。

酸・苦・甘・辛・鹹それぞれの体への働き

五味にはそれぞれ独自の体への働きがあります。
「酸」には「引き締める・収束する」という働きがあり、「苦」には「熱を冷やす・乾かす」という働きがあります。
「甘」には「補う・緩める」という働きがあり、「辛」には「巡らせる・発散する」という働きがあります。
そして「鹹(かん)」には「やわらかくする・降ろす」という働きがあるとされています。

五味と五性はどう違い、どう組み合わせるか

五味と五性は「別の視点」で食材を分類したものです。
五性には「温めるか冷やすか」という性質があり、五味には「どんな作用があるか」という働きがあります。
したがって「温性で甘味」や「涼性で辛味」のように、五性と五味を組み合わせて食材を捉えることで、より細かく体への影響を理解できます。
この組み合わせが、薬膳の食材選びをより正確にするためのポイントです。

味の偏りが体調に与える影響

五味には「偏りすぎると不調につながる」という視点もあります。
たとえば「甘味を取り入れすぎる」と体の中に湿気が増えやすく、「辛味を取り入れすぎる」と体が熱になりやすいとされています。
さらに「鹹(塩辛い)を取り入れすぎる」と体の水分バランスが崩れやすくなります。
したがって「五味のバランスを取る」という意識が、体調を整えるためのポイントです。

食性を分ける応用軸|帰経・作用の方向性(昇降浮沈)

五性と五味の次に、さらに応用的な視点として「帰経」や「昇降浮沈」という分類があります。
ここでは、これらの意味と使い方を見ていきます。

帰経とは|どの臓腑・経絡に作用しやすいか

帰経とは「その食材がどの臓器や経絡に働きかけるか」を表現するためのものです。
たとえば「肝に帰経する食材」には「肝の働きに関係する」という意味があり、「脾に帰経する食材」には「脾(胃腸)の働きに関係する」という意味があります。
この帰経という視点があることで「体のどこに向けて食べているのか」がより明確になります。
したがって帰経は「食材の狙いをより具体的にする」ためのポイントです。

同じ食性でも「効く場所」が違う理由

同じ五性や五味を持つ食材でも「帰経」が異なれば、働きかける場所が変わります。
たとえば「温性で甘味」の食材であっても、「脾に帰経する」ものと「肺に帰経する」ものでは、体への影響が異なります。
このように、帰経という視点があることで「似た食材の使い分け」がより細かくできるようになります。
ただし初心者の段階では「まず五性と五味を押さえる」ことが優先です。

昇・降・浮・沈という作用の方向性

食性にはさらに「昇・降・浮・沈」という作用の方向性もあります。
「昇」には「気を上に上げる」という働きがあり、「降」には「気を下に降ろす」という働きがあります。
「浮」には「気を表面に向ける」という働きがあり、「沈」には「気を内側に向ける」という働きがあるとされています。
これらは非常に専門的な視点なので、初心者の段階では無理に意識する必要はありません。

初心者はどこまで意識すればよいか

食性には「五性」「五味」「帰経」「昇降浮沈」など、さまざまな視点があります。
ただし初心者の段階では「まず五性と五味を押さえる」ことが最優先です。
帰経や昇降浮沈は「さらに深めたいとき」に学んでいくという順番で十分です。
焦らず、まず基本の視点から少しずつ理解を積み重ねていくことが、食性を無理なく使うためのポイントです。

実践で迷わない!食性の分類を使った選び方の手順

ここまで食性の分類方法を見てきました。
次に「実際にどう使って食材を選ぶか」という手順を見ていきます。参考にしてみてください!

まず体の状態(寒熱・湿燥)を把握する

食性を使って食材を選ぶときは「まず今の体の状態を把握する」ことが大切です。
たとえば「体が冷えている」のか「熱がこもっている」のか、「湿気が溜まっている」のか「乾いている」のかという視点で、体を観察してみます。
この「今の体の状態」がわかると、どの食性を選べばいいかの方向性が見えてきます。
したがって「食性を使う前に、体の状態を確認する」という順番が、食材選びの基本です。

五性で方向性を決める考え方

体の状態を把握した上で、次に「五性」を使って方向性を決めていきます。
たとえば「体が冷えている」と感じる場合は「温性」や「熱性」の食材を選び、「体に熱がこもっている」と感じる場合は「涼性」や「寒性」の食材を選びます。
さらに「どちらでもない」という場合は「平性」の食材を中心にすると、偏りが出にくいです。
この「五性で大きな方向を決める」という手順が、食材選びの最初のステップです。

五味・帰経で微調整する方法

五性で方向性を決めた上で、さらに細かく調整したい場合は「五味」や「帰経」を使います。
たとえば「温性の食材」の中でも「甘味」のものは「補う」働きがあり、「辛味」のものは「巡らせる」働きがあります。
したがって「今の体に必要な働き」に合わせて、五味や帰経も組み合わせていくと、より細かく食材を選べます。
ただし最初は「五性だけで十分」です。慣れてきたら五味や帰経も意識してみてください。

迷ったときは「脾胃を守る」選択をする

食材選びに迷ったときは「脾胃(胃腸)を守る」という選択が最も安全です。
なぜかというと、胃腸が弱ると「どんな良い食材を食べても吸収できない」ためです。
したがって「消化しやすい食材」や「平性の食材」を中心にして、胃腸に負担をかけないことが、食性を使う際の基本的なスタンスです。
迷ったら「脾胃を守る」という視点に立ち返ってみてください!

食性がブレる理由と安全な使い方【次に知りたくなる視点】

最後に「食性がブレる理由」や「安全に使うためのポイント」を取り上げていきます。
この視点を知っておくと、食性をより柔軟に活用できます。

同じ食材で分類が違う理由(量・調理法・体質)

同じ食材でも「資料によって食性の分類が違う」ことがあります。
なぜかというと、食性には「量」や「調理法」「個人の体質」によって変わる部分もあるからです。
たとえば「生で食べると涼性」だが「加熱すると平性に近づく」という食材もあります。
したがって「食性は絶対ではなく、状況によって変わる」という前提で使うことが大切です。

冷やしすぎ・温めすぎを防ぐ考え方

食性を使うときに注意したいのが「冷やしすぎ・温めすぎ」です。
たとえば「体が冷えている」からといって「熱性の食材ばかり食べる」と、今度は熱がこもりすぎることがあります。
逆に「体に熱がこもっている」からといって「寒性の食材ばかり食べる」と、体が冷えすぎることがあります。
したがって「少しずつ、体の反応を見ながら調整する」という柔軟な姿勢が、安全に食性を使うためのポイントです。

季節や年齢による食性の使い分け

食性の使い方は「季節」や「年齢」によっても変わっていきます。
たとえば「夏は涼性の食材を意識する」ことで体の熱を和らげやすく、「冬は温性の食材を意識する」ことで体を温めやすくなります。
さらに「年齢を重ねると虚証になりやすい」ため、補う性質のある食材を意識することが有効です。
このように「今の季節や年齢に合わせて食性を使い分ける」ことが、柔軟な薬膳のポイントです。

食性を生活に無理なく取り入れるコツ

食性を生活に取り入れるためには「完璧を目指さない」ことが大切です。
なぜかというと、食性はあくまで「目安」であり、「すべての食材を分類どおりに食べなければならない」というルールではないからです。
したがって「今日は体が冷えているから、温かい食材を意識してみよう」という軽い気持ちで取り入れていくことが、無理なく続けるためのコツです。
少しずつ、楽しみながら食性を活用していくことが、薬膳の自然な入口になっています!

まとめ

本記事では薬膳の「食性」という考え方について、五性・五味・帰経といった分類方法や実践での選び方をお伝えしてきました。
食性には「食材の体への影響」を分類する視点があり、五性で「温めるか冷やすか」を、五味で「どんな作用があるか」を捉えることができます。さらに帰経や昇降浮沈という応用的な視点もありますが、まず「五性と五味」を押さえることが基本です。
まず「今の体の状態」を観察してみて、それに合わせて五性や五味を使って食材を選んでみてください。少しずつ体の反応を見ながら調整していくことが、食性を無理なく活用するための自然な流れになっています!