「薬膳を始めたいけど、自分に合った食材の選び方がわからない……」
そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。
薬膳では、症状だけでなく「体質」を見て食材や調理法を選んでいきます。自分の体質を知ることで、何を食べればよいのか、何を控えたほうがよいのかが自然と見えてくるのです。
この記事では、薬膳における体質別の選び方の基礎を、初心者の方にもわかりやすくお伝えしていきます。体質の見分け方から食材選びの基本まで、迷わず実践できるポイントを押さえていきましょう!
薬膳における「体質別の選び方」とは?基礎の考え方

まず知っておきたいのが、薬膳における「体質別の選び方」とは何なのか、という基本の考え方です。
体質別の選び方とは、その人の体の状態や傾向に合わせて、食材や調理法を選ぶアプローチのこと。同じ「冷え」でも、原因が違えば選ぶべき食材も変わってきます。
西洋医学的な栄養学とは違い、薬膳では「体のバランスを整える」ことを重視するのです。
ここでは、体質別に選ぶことの意味と、基礎で押さえるべき考え方をお伝えしていきます!
薬膳は「症状」より「体質」を見る食事法
薬膳の大きな特徴は、症状そのものよりも「体質」に注目する点にあります。
たとえば「頭痛」という症状一つをとっても、気が不足して起こる場合もあれば、血の巡りが悪くて起こる場合もあるのです。症状が同じでも、根本の原因が違えば、必要な養生も異なります。
したがって、薬膳では「今どんな症状があるか」だけでなく、「体がどのような状態にあるか」を見ていくことが大切。
このように、体質という視点を持つことで、より根本的な改善が期待できるのです!
体質別に選ぶと何が変わるのか
では、体質別に食材を選ぶと何が変わるのでしょうか。
最大の変化は、「体に合わないものを避けられる」という点です。たとえば体が冷えやすい人が生野菜ばかり食べていると、かえって不調が強まることがあります。
逆に、自分の体質に合った食材を選べば、無理なく体のバランスが整いやすくなるのです。
また、体質を意識することで「なぜこの食材がよいのか」が理解できるようになり、自分で応用する力も身についていきます。結果として、食事選びに迷わなくなり、養生が習慣化しやすくなるでしょう!
体質別薬膳は特別な食材が必要なわけではない
「体質別の薬膳」と聞くと、特別な食材が必要だと思われるかもしれません。
しかし実際には、スーパーで買える普通の食材で十分に実践できます。たとえば気を補うなら鶏肉や山芋、血を補うならレバーやほうれん草といった身近な食材が活躍するのです。
大切なのは、食材そのものよりも「どの食材を、どう組み合わせるか」という視点。
したがって、特別な材料を揃えなくても、今ある食材で体質に合った食事は十分に作れます!
基礎で押さえるべき考え方は3つだけ
体質別薬膳の基礎で押さえるべき考え方は、実はたった3つです。
一つ目は「不足しているものは補う」、二つ目は「余分なものは取り除く」、三つ目は「巡りを良くする」。この3つの方向性を理解すれば、複雑に見える薬膳もシンプルに捉えられます。
たとえば疲れやすい人は「補う」方向、むくみやすい人は「取り除く」方向、ストレスが溜まりやすい人は「巡らせる」方向の食材を選ぶのです。
このように、基本の考え方さえ押さえておけば、迷わず実践できるようになります!
体質別薬膳で使われる代表的な体質タイプ

次に、体質別薬膳でよく使われる代表的な体質タイプをご紹介していきます。
体質タイプには、「気・血・水」という3つの要素と、「陰陽・虚実」という視点を組み合わせたさまざまな分類があります。ここでは初心者の方にもわかりやすいよう、代表的な6つのタイプを簡潔に取り上げていきます。
それぞれの体質には特徴的な症状や傾向があり、それに応じた食材選びの方向性も異なるのです。
まずは自分がどのタイプに近いか、大まかにイメージしてみてください!
気虚体質|疲れやすくエネルギー不足になりやすい
気虚体質は、体を動かすエネルギーである「気」が不足している状態です。疲れやすい、風邪をひきやすい、食欲がない、声が小さい、汗をかきやすいといった特徴があります。
血虚体質|栄養や潤いが足りないタイプ
血虚体質は、栄養を運ぶ「血」が不足している状態です。顔色が悪い、髪がパサつく、爪が割れやすい、めまいや立ちくらみがする、眠りが浅いといった症状が出やすくなります。
気滞体質|ストレスで巡りが滞りやすい
気滞体質は、気の巡りが悪くなっている状態です。ストレスを感じやすい、お腹が張る、イライラしやすい、ため息が多い、喉に何かつかえる感じがするといった傾向があります。
瘀血体質|血の巡りが悪くなりやすい
瘀血体質は、血の巡りが悪く滞っている状態です。肩こりや頭痛がある、生理痛が強い、シミやくすみが気になる、唇や舌の色が暗いといった特徴が見られます。
水滞体質|余分な水分が溜まりやすい
水滞体質は、体内に余分な水分が溜まっている状態です。むくみやすい、体が重だるい、痰が多い、舌に厚い苔がつく、雨の日に体調を崩しやすいといった症状があります。
陰虚・陽虚体質|潤い不足・冷えが強いタイプ
陰虚体質は体を潤す力が不足している状態で、ほてりやすい、のどが渇く、肌が乾燥するといった特徴があります。陽虚体質は体を温める力が不足している状態で、手足が冷えやすい、寒がり、温かいものを好むといった傾向が見られます。
自分の体質を知るための簡単セルフチェック

ここからは、自分の体質を知るための簡単なセルフチェック方法をお伝えしていきます。
体質チェックは、病院の診断とは異なり、あくまで「今の体の傾向」を知るための目安です。完璧に当てはめようとする必要はなく、気楽に確認してみてください。
よくある症状や生活習慣から、自分がどの体質に近いかを見ていきましょう。
複数の体質が当てはまる場合の考え方も合わせてご紹介していきます!
体質チェックは「完璧に当てはめない」が基本
まず大前提として、体質チェックは「完璧に当てはめる」ものではないという点を理解しておいてください。
なぜなら、多くの人は複数の体質要素を持っており、季節や生活の変化によって体質も変動するからです。たとえば普段は気虚傾向でも、ストレスが溜まると気滞の症状が強く出ることもあります。
したがって、チェックの目的は「体質を確定させること」ではなく、「今の自分に必要な養生の方向性を知ること」。
このように柔軟な視点を持つことで、体質チェックがより実用的なツールになります!
よくある症状から見る体質の目安
次に、よくある症状から体質を見る目安をご紹介します。
疲れやすい、息切れしやすい、風邪をひきやすい場合は気虚の可能性があります。顔色が悪い、髪がパサつく、めまいがする場合は血虚かもしれません。
ストレスを感じやすい、お腹が張る、イライラしやすいなら気滞、肩こりや生理痛が強いなら瘀血の傾向が考えられます。
むくみやすい、体が重だるい、痰が多いなら水滞、手足が冷えやすいなら陽虚、ほてりやすいなら陰虚といった具合です。このように、症状から大まかな体質の傾向を掴んでみてください!
生活習慣・体の傾向から見る体質
症状だけでなく、生活習慣や体の傾向からも体質を見ることができます。
たとえば、温かい飲み物を好む、寒がりである、厚着をしたがるといった場合は陽虚の傾向があるでしょう。逆に、冷たいものを好む、暑がりである、薄着でも平気という場合は陰虚や熱がこもりやすい体質かもしれません。
また、食が細い、胃腸が弱いという場合は気虚や脾胃の弱さが考えられます。
このように、日常の何気ない好みや習慣にも、体質のヒントが隠れているのです!
複数当てはまる場合の考え方
セルフチェックをすると、複数の体質に当てはまることも珍しくありません。
その場合は、「どの症状が一番強いか」「どの体質傾向が長く続いているか」を基準に優先順位をつけてみてください。たとえば疲れやすさと冷えが両方ある場合、気虚と陽虚が混在していると考えられます。
また、気虚と気滞のように、一見矛盾するような体質が同時に存在することもあるのです。
したがって、複数の体質がある場合は、一番気になる不調から取り組むのが実践的でしょう!
体質別に見る食材選びの基本方針

ここからは、体質別に見る食材選びの基本方針をお伝えしていきます。
体質がわかったら、次に知りたいのは「何を食べればよいのか」という具体的な選び方です。ここでは、各体質タイプに応じた食材選びの方向性を、わかりやすく整理していきます。
大切なのは、細かい食材名を覚えることよりも「補う・巡らせる・温める・潤す」といった方向性を理解すること。
この基本方針さえ押さえておけば、自分で応用できるようになります!
体質別に「補う・巡らせる・温める・潤す」を考える
体質別の食材選びは、「補う・巡らせる・温める・潤す」という4つの方向性で整理できます。
気虚や血虚のように不足している体質には「補う」食材を、気滞や瘀血のように滞っている体質には「巡らせる」食材を選びます。陽虚のように冷えがある場合は「温める」食材、陰虚のように乾燥している場合は「潤す」食材が適しているのです。
また、水滞のように余分なものが溜まっている場合は「取り除く」方向の食材を選びます。
このように、体質に応じた方向性を意識することで、食材選びがシンプルになります!
気虚・血虚タイプの食材選びの方向性
気虚や血虚のように「不足」がある体質には、補う方向の食材を選びます。
気虚タイプには、気を補う食材がおすすめです。たとえば鶏肉、山芋、かぼちゃ、米、大豆製品などが代表的。消化しやすく、エネルギーになりやすい食材を選ぶとよいでしょう。
血虚タイプには、血を補う食材を取り入れます。レバー、赤身肉、ほうれん草、黒ごま、なつめ、ひじきなどが適しています。
ただし、一度にたくさん食べるのではなく、少量ずつ継続することが大切です!
気滞・瘀血タイプの食材選びの方向性
気滞や瘀血のように「巡りが悪い」体質には、巡らせる方向の食材を選びます。
気滞タイプには、気の巡りを良くする食材がおすすめです。柑橘類、しそ、三つ葉、セロリ、ジャスミン茶などの香りのよい食材が適しています。また、深呼吸やストレッチといった生活習慣も組み合わせるとよいでしょう。
瘀血タイプには、血の巡りを促す食材を取り入れます。青魚、玉ねぎ、にんにく、生姜、黒きくらげ、納豆などが代表的です。
適度な運動や入浴で体を温めることも、巡りを良くする助けになります!
水滞・冷えタイプの食材選びの方向性
水滞や冷えがある体質には、それぞれに応じた食材選びが必要です。
水滞タイプには、余分な水分を排出する食材がおすすめです。小豆、はと麦、冬瓜、きゅうり、昆布、海藻類などが適しています。ただし、冷やしすぎないよう温かい調理法を選ぶことも大切。
陽虚など冷えが強いタイプには、体を温める食材を選びます。生姜、にんにく、シナモン、羊肉、えび、くるみなどが代表的です。
また、陰虚のように潤い不足がある場合は、白きくらげ、梨、豆腐、牛乳、豚肉といった潤す食材を取り入れるとよいでしょう!
避けたい食材・食べ方の考え方
体質別に選ぶときは、「何を食べるか」だけでなく「何を避けるか」も重要です。
たとえば気虚や陽虚のように冷えやすい体質の人は、生野菜や冷たい飲み物を摂りすぎないように注意します。逆に陰虚のようにほてりやすい人は、辛いものや揚げ物を控えめにするとよいでしょう。
また、水滞タイプは甘いものや脂っこいものを摂りすぎると、余分な湿が溜まりやすくなります。
このように、体質に合わない食材や食べ方を避けることも、体質別薬膳の大切なポイントです!
体質別薬膳を続けるための実践ポイント

ここからは、体質別薬膳を無理なく続けるための実践ポイントをお伝えしていきます。
体質別の考え方を理解しても、いきなり完璧にやろうとすると挫折しやすくなるもの。大切なのは、できる範囲で少しずつ取り入れ、習慣化していくことです。
また、胃腸を守ることを最優先にすれば、自然と体質も整いやすくなります。
ここでは、初心者の方でも続けやすい実践のコツをご紹介していきます!
まずは「一品置き換え」から始める
体質別薬膳を始めるときは、まず「一品置き換え」から始めてみてください。
いきなり献立全体を変えようとすると、負担が大きくなります。たとえば気虚タイプなら、おやつをお菓子から山芋のおやきに変える、血虚タイプなら朝食にほうれん草のお浸しを一品加える、といった小さな工夫で十分です。
毎日の食事の中で、一つだけ体質に合った食材を意識するだけでも、積み重ねれば大きな変化につながります。
このように、無理のない範囲で続けることが、体質別薬膳を定着させる秘訣です!
調理法で体への影響は大きく変わる
食材だけでなく、調理法によっても体への影響は大きく変わります。
たとえば同じ野菜でも、生で食べると体を冷やしやすく、煮たり蒸したりすると冷やす性質が和らぎます。また、炒める・揚げるといった調理法は、体を温める作用が強まるのです。
したがって、冷えやすい体質の人は温かい調理法を選び、ほてりやすい人は蒸す・茹でるといった穏やかな調理法を選ぶとよいでしょう。
このように、調理法を工夫するだけでも、体質に合わせた食事が作れます!
毎日完璧にやろうとしないことが大切
体質別薬膳を続けるうえで大切なのが、毎日完璧にやろうとしないことです。
忙しい日や外食が続く日もあるでしょう。そんなときに「体質に合わない食事をしてしまった」と自分を責める必要はありません。大切なのは、長期的に見てバランスが取れていることです。
たとえば外食で脂っこいものを食べたら、翌日は消化のよいものを選ぶ、といった調整で十分。
このように、柔軟に考えることで、薬膳が負担ではなく楽しみになります!
胃腸(脾胃)を守ることが最優先
薬膳の大原則として、「胃腸(脾胃)を守ることが最優先」という考え方があります。
どんなに体質に合った食材を選んでも、胃腸が弱っていては栄養を吸収できません。したがって、食べすぎや冷たいものの摂りすぎ、消化に負担のかかる食べ方は避けることが大切です。
温かく消化のよいものを、腹八分目で食べる。この基本を守ることで、どの体質であっても体は整いやすくなります。
したがって、体質別の工夫と同時に、胃腸を労わる食べ方を心がけてみてください!
体質が混在・変化する場合の考え方【次に知りたくなる】

最後に、体質が混在していたり、変化する場合の考え方をお伝えしていきます。
実際には、多くの人が複数の体質要素を持っており、季節や年齢によって体質も変わっていきます。そんなとき、どう対応すればよいのか迷う方も多いでしょう。
ここでは、体質が固定ではないという前提で、柔軟に対応するためのヒントをご紹介していきます。
迷ったときの安全な選び方も合わせてお伝えします!
体質は一生固定ではない
まず理解しておきたいのが、体質は一生固定されたものではないという点です。
体質は、生活習慣や食事、ストレスの有無によって常に変化しています。たとえば若い頃は気血が充実していても、加齢とともに気虚や血虚に傾くことは自然なことです。
また、適切な養生を続けることで、偏った体質がバランスの取れた状態に戻ることもあります。
したがって、「自分は〇〇体質だから」と決めつけず、その時々の体の状態に合わせて柔軟に対応することが大切です!
季節・年齢・生活で体質は変わる
体質は、季節や年齢、生活環境の変化によっても変わります。
たとえば冬は陽気が弱まりやすいため、普段は問題ない人でも陽虚傾向が出ることがあります。逆に夏は陰液が消耗しやすく、陰虚の症状が現れやすくなるのです。
また、仕事が忙しくストレスが溜まると、気滞の症状が強まることもあるでしょう。
このように、体質は固定されたものではなく、常に揺れ動いています。だからこそ、今の自分の状態を観察しながら、柔軟に養生を調整していくことが求められます!
複数体質がある場合の優先順位
複数の体質要素がある場合、どれから取り組めばよいか迷うこともあるでしょう。
そんなときは、「一番気になる症状」や「日常生活に一番影響している不調」から優先的に取り組んでみてください。たとえば疲れやすさと冷えの両方がある場合、仕事に支障が出ているのが疲れやすさなら、まず気虚を改善する方向で考えます。
また、胃腸の調子が悪い場合は、何よりも脾胃を整えることを最優先にするのが基本です。
このように、優先順位を決めることで、実践がシンプルになります!
迷ったときの安全な選び方
体質がわからない、どう選べばよいか迷う、そんなときには安全な選び方があります。
それは、「平性(穏やかな性質)の食材」を中心に選ぶことです。米、じゃがいも、キャベツ、豚肉、卵などの平性食材は、体を極端に冷やしたり温めたりしないため、どの体質にも使いやすいのです。
また、温かく消化のよい調理法を選び、腹八分目を守ることも、迷ったときの安全策になります。
このように、基本を守りながら少しずつ体質に合わせた工夫を加えていけば、無理なく薬膳を続けられます!
まとめ

薬膳における体質別の選び方は、「症状」ではなく「体質」を見て、食材や調理法を選ぶアプローチです。
自分の体質を知ることで、何を補い、何を避けるべきかが自然と見えてきます。気虚・血虚・気滞・瘀血・水滞・陰虚・陽虚といった代表的な体質タイプを目安に、自分の体の傾向を把握してみてください。
体質は一生固定ではなく、季節や年齢、生活習慣によって変わります。複数の体質が混在することも珍しくありません。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、今の自分に必要な養生を柔軟に選んでいくこと。まずは一品置き換えから始め、胃腸を守りながら無理なく続けてみてください!



