「薬膳や東洋医学で体の調子を整えたい……でも、陰陽や虚実って何がどうなんだろう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
薬膳には、体の状態を「陰陽」や「虚実」という視点で捉えるという考え方があります。これらのバランスを理解することで、自分の体がどんな状態にあるのかを判断できるようになります。
この記事では、陰陽と虚実の基本的な考え方や、組み合わせて考える理由、さらにセルフチェックの方法まで丁寧にお伝えしていきます。薬膳のポイントも取り上げるので、ぜひ最後まで読んでみてください!
陰陽とは何か?薬膳で考える体の基本バランス

薬膳や東洋医学の考え方には、「陰」と「陽」という二つの要素があります。
この陰陽のバランスが体の調子の基盤になっているとされているため、まずはこちらの基本的な考え方から見ていきましょう。
陰と陽はどちらが良い・悪いではない
薬膳や東洋医学では、「陰」と「陽」には、それぞれ良い悪いというような優劣はありません。
なぜなら、陰と陽はあくまで「性質の違い」を表現するためのものだからです。
陽には「熱」「活動」「明るさ」の性質があり、一方で「陰」には「冷え」「静止」「暗さ」の性質があります。
どちらかが多すぎて少なすぎるのが不調の原因とされているため、両方が存在してバランスを保つことが理想とされています。
たとえば、昼間は陽の時間で体も活動的になりやすい。夜は陰の時間で体が休む方向へ向かう。
この昼夜のサイクルが「陰陽のバランス」の身近な例です。どちらかが「悪い」のではなく、両方が存在してこそ健全なサイクルが生まれるということです。
このように、陰と陽は「対立するものの中にある、バランスの取り方」を表現したものなので、「どちらが正解」という発想には至らないのです。
日常の中にある陰陽(昼夜・活動と休息)
実は日常生活の中で、私たちは陰陽のサイクルの中を生きています。
昼間は太陽が出ていて体も動かしやすい状態。これが「陽」の時間です。
夜になると体は休む方向へ向かい、静かに回復していく時間になります。これが「陰」の時間。
さらに、活動と休息のサイクルも同様で、強い動きの後には静かなお休みの時間が必要です。
つまり、陰と陽はあくまで「生活リズムの中で自然に起こっている変化」を表現したものです。
日常のリズムを「陰陽」として意識してみると、体のバランスの変化がより分かりやすくなります。
薬膳で陰陽を意識する理由
薬膳では、「食べ物にも陰と陽がある」とされています。
なぜなら、食べ物には体を温める性質と冷やす性質があり、体内の陰陽のバランスに直接影響するとされているからです。
たとえば、ショウガや栗などは体を温める「陽性」の食べ物とされています。
逆に、トマトやスイカなどは体を冷やす「陰性」の食べ物です。
これらを自分の体の状態に合わせて組み合わせることで、陰陽のバランスを意識的に整えていくことが、薬膳の基本的な考え方です。
このように、薬膳では食べ物の性質を陰陽で捉えることで、体のバランスを日常的に調整していくことが目標です。
虚実とは何か?体質と「今の状態」を見分ける視点

陰陽の次に、薬膳や東洋医学で重要な視点として「虚実」があります。
この虚実の考え方を理解することで、「今の自分の体がどんな状態にある」かを見分けられるようになります。ぜひ一緒に確認していきましょう。
虚とは「足りない状態」、実とは「過剰な状態」
「虚」と「実」は、体の中のエネルギーや物質の「量」を表現するための言葉です。
「虚」には「何かが足りていない」という意味があり、エネルギーやある種の栄養が不足している状態を指します。
一方「実」には「何かが過剰にある」という意味があり、エネルギーやある種の物質が多すぎる状態を指します。
つまり、虚実は「足す」か「引く」かという視点で体の状態を捉えるための基本的な틀になっています。
この「足りない」か「過剰」かという視点が、体の不調の原因を見分ける際にも役立ちます。
体質としての虚実と、症状としての虚実
実は「虚実」には、「体質」としての虚実と「今の症状」としての虚実の2つの見方があります。
なぜなら、体質は長期的に続く傾向であり、症状は今現在の体の状態を表すものだからです。
たとえば、もともと体力が出る方で「実質」の体質であっても、今は体調不良で「虚」の状態になっていることもあります。
逆にもともと「虚質」の体質であっても、今は元気な状態で「実」になっていることもあります。
このように、「体質」と「今の状態」を分けて考えることが、虚実を正確に理解するためのポイントです。
虚=病弱、実=健康ではない理由
「虚」があると病気や体調不良に直結するということは、実は正確ではありません。
なぜなら、「虚」はあくまで「何かが少なめ」という状態を表しているだけで、病気そのものとは別の概念だからです。
たとえば、「今は少し体力に余裕がない」という状態も虚に当てはまります。
一方で「実」であっても、過剰なエネルギーが詰まっていて体調が乱れるケースもあります。
つまり、虚実はどちらが「良い」かではなく、「今の状態に合わせて調整していくこと」が重要です。
このように、虚実はあくまで「体の状態を捉えるための視点」であり、良い悪いの話ではありません。
陰陽と虚実を組み合わせて考える理由

ここまで陰陽と虚実をそれぞれ見てきました。
実は、これらを組み合わせて考えることで、体の状態をより正確に把握できるようになります。その理由を見ていきましょう。
陰だけ・虚だけでは判断できない理由
「陰」や「虚」だけを見て体の状態を判断しようとすると、正確な把握が難しくなります。
なぜなら、体の状態には「性質の種類」と「量の多少」という2つの軸があり、片方だけでは情報が不十分だからです。
たとえば「冷えがある」という症状があっても、それが「陽が不足している(陽虚)」のか「陰が過剰にある(陰実)」のかで、アプローチが大きく変わります。
つまり、陰陽と虚実の両方を掛け合わせて見ないと、適切な対策を考えるのが難しいのです。
このように、2つの視点を組み合わせることが、体の状態を正確に把握するためのポイントです。
同じ症状でも陰虚・陽実が分かれるケース
「疲れやすい」や「熱があるように感じる」という症状があっても、原因が分かれるケースがあります。
なぜなら、同じ症状でも体の中で起きていることは、陰陽や虚実の組み合わせによって大きく異なるからです。
たとえば「熱がある」という症状は、「陽が過剰にある(陽実)」のか「陰が不足して熱が出てきた(陰虚)」のかで、対策が逆になることがあります。
「陽実」の場合は「冷やす」アプローチが有効で、「陰虚」の場合は「陰を補う」アプローチが求められます。
このように、症状の見た目が同じでも原因は、陰陽と虚実の組み合わせによって分かれるのです。
状態は固定ではなく変化するという前提
薬膳や東洋医学の考え方では、体の陰陽や虚実の状態は「常に変わっている」とされています。
季節や体調、生活習慣などによって、体の中のバランスは日々変動します。
たとえば「今は陰虚だと思っていたのに、季節が変わると陽虚になった」というケースも珍しくありません。
したがって、「一度決めたら固定」ではなく「今の自分の体に合わせて都度確認していくこと」が大切です。
体の状態は動的なものなので、都度バランスを確認していくことが薬膳の基本的な考え方です。
陰陽×虚実で見る4つのタイプと特徴

陰陽と虚実を組み合わせると、大きく4つのタイプに分かれます。
それぞれの特徴と、起こりやすい不調をまとめていきます。参考にしてみてください!
陰虚タイプの特徴と起こりやすい不調
「陰虚」とは、体の「陰の要素」が不足している状態です。
なぜなら、陰には「冷やす」や「静止・休息」という役割があり、それが足りない場合に陰虚になるからです。
陰虚の方には、「午後〜夜にかけて熱がある」「手足の裏が熱い」「熱感を伴う熱を感じる」「夜中に汗をかく」「喉が乾きやすい」といった症状が起こりやすいです。
また、「午後になると元気がなくなりやすい」という傾向も見られます。
このように陰虚は「体の冷やすパワーが不足している」という状態で、主に午後〜夜の症状に出やすい傾向があります。
陽虚タイプの特徴と起こりやすい不調
「陽虚」とは、体の「陽の要素」が不足している状態です。
なぜなら、陽には「温める」や「活動」という役割があり、それが不足すると体全体が冷えやすくなるからです。
陽虚の方には、「常に冷えを感じる」「特に手足や腰が冷えやすい」「体調に季節の変化の影響を受けやすい」「疲れやすい」「下痢が出やすい」といった症状が起こりやすいです。
さらに「熱がある」という症状が少ない傾向もあります。
このように陽虚は「温めるパワーが不足している」という状態で、冷え症や疲れやすさが特徴的です。
陰実タイプの特徴と起こりやすい不調
「陰実」とは、体の「陰の要素」が過剰にある状態です。
なぜなら、陰には「冷やす」という性質があり、それが多すぎると体の中が冷えすぎるようになるからです。
陰実の方には、「冷えが強い」「胃や腹部を中心に冷えを感じる」「生冷たいものを食べると不調になりやすい」「熱を感じる症状は少ない」といった特徴が見られます。
また「体が重く感じる」という傾向も起こりやすいです。
このように陰実は「冷やす性質が多すぎる」という状態で、体の中の冷えが強く出る傾向があります。
陽実タイプの特徴と起こりやすい不調
「陽実」とは、体の「陽の要素」が過剰にある状態です。
なぜなら、陽には「温める」という性質があり、それが多すぎると体の中が熱すぎるようになるからです。
陽実の方には、「熱がある感覚が続く」「顔や上半身が熱い」「喉が乾きやすい」「水分を大量に飲みたくなる」「便秘になりやすい」といった特徴が見られます。
さらに「全体的に元気がある」という印象を持たれる方も多いです。
このように陽実は「温めるパワーが多すぎる」という状態で、熱や乾燥に関する症状が出る傾向があります。
自分はどれ?陰陽・虚実バランスのセルフチェック

ここまでの内容を踏まえて、実際に「自分はどのタイプか」を確認できるセルフチェックを紹介していきます。
ぜひ気軽に取り組んでみてください!
冷え・熱感・疲れ方から見るチェックポイント
自分の陰陽・虚実のタイプを見分けるためには、「冷え」「熱感」「疲れ方」の3つのポイントに注目します。
なぜなら、これらの症状が陰陽や虚実のバランスの変化に最も出やすいからです。
まず「冷え」について。手足や腰が常に冷えやすい場合は「陽虚」の可能性が高い。
次に「熱感」について。午後〜夜に熱がある感覚があれば「陰虚」の可能性があります。
そして「疲れ方」について。疲れが強く、冷えがある場合は「虚」の側に近い状態と見ることができます。
このように「冷え・熱感・疲れ方」を確認することで、大きくどのタイプに近いかが分かりやすくなります。
1つに当てはまらなくても問題ない理由
セルフチェックをしていて「複数のタイプに当てはまる」と感じる方もいます。これは全く問題ありません。
なぜなら、体の状態は「今現在のスナップショット」であり、複数の要素が混在していることが珍しくないからです。
たとえば「冷えもある」のに「午後に熱がある」という場合は、「陽虚」と「陰虚」の両方の要素がある可能性です。
このような場合も、症状が強い方を優先にして捉えて、まず対策を始めていくことが大切です。
あくまで「当てはまるものが複数ある」こと自体は、体の状態の複雑さを反映しているものなので、焦らなくて大丈夫です。
日や季節で変わるバランスの考え方
体の陰陽や虚実のバランスは「固定されたもの」ではなく、季節や日付でも変わっていきます。
たとえば冬は体を温める陽の要素を強く意識したい季節であり、夏は体を冷やす陰の要素が重要になります。
また一日の中でも、朝と夜では体の状態が変わることがあります。
したがって「今の自分の体」を都度確認していくことが、バランスを維持するためのポイントです。
季節や日付に合わせて都度確認していくことが、長期的に体のバランスを維持する鍵になります。
陰陽・虚実のバランスを薬膳でどう整えるか【次に知りたくなる視点】

最後に「では実際にどう食べればいいのか」という視点を取り上げていきます。
薬膳の基本的な考え方を踏まえて、バランスの整え方を見ていきましょう。
補う・取り除くという基本方針
薬膳の基本的な方針は、「足りないものを補う」と「過剰なものを取り除く」という2つです。
「虚」の場合は「足りないものを補う」アプローチを取り、「実」の場合は「過剰なものを減らす」アプローチを取ります。
たとえば「陽虚」であれば温める性質の食べ物を取り入れ、「陰実」であれば冷やす性質の食べ物を減らすのが基本です。
つまり「何を食べるか」と同様に「何を減らすか」も重要です。
「補う」か「取り除く」かという視点が、薬膳の食事づくりの基盤になっています。
温める・冷ますを選ぶときの考え方
薬膳では「温める食べ物」と「冷やす食べ物」を意識的に選んで食べていきます。
なぜなら食べ物には「温める」か「冷やす」かという性質があり、体の陰陽のバランスに影響を与えるからです。
温める食べ物には「栗・ニンニク・ショウガ」などがあります。
一方で冷やす食べ物には「トマト・キュウリ・スイカ」などがあります。
自分のタイプに合わせて、「温める」か「冷やす」かを選んで食べていくことが、薬膳のポイントです。
このように「温める」か「冷やす」かを自分の状態に合わせて選ぶことが、陰陽バランスの整え方の基本です。
「やりすぎ」を防ぐために意識したいこと
薬膳を取り入れる際には「やりすぎ」に注意することが大切です。
なぜなら温める食べ物を取り入れすぎると「陽実」になり、冷やす食べ物を取り入れすぎると「陰実」になるからです。
たとえば「冷えがある」からと温める食べ物を大量に食べてしまうと、逆に熱がある状態になることがあります。
「少し多めに」ではなく「少しずつ体の反応を見ながら」調整していくことが、薬膳の賢い取り入れ方です。
このように「やりすぎ」を防ぐために「少しずつ確認していくこと」が、薬膳を無理なく続けるためのポイントです。
まとめ

本記事では「陰陽」と「虚実」という薬膳や東洋医学の視点を使って、体のバランスの見つかり方をお伝えしてきました。
陰陽には「温め冷やす」という性質の違いがあり、虚実には「足りない過剰」という量の違いがある。これらを組み合わせることで「今の自分の体がどんな状態にある」かを把握できるようになります。
薬膳を活用するためには「無理せず少しずつ、今の体の状態を確認しながら」取り入れていくことが大切です。ぜひ今日から、自分の体に耳を傾けてみてください!


