「生姜を食べているのに冷えが治らない」「干し生姜と生姜、どちらを選べばいいか分からない」「体質に合った温活をしたい」そんな悩みを抱えていませんか。薬膳では、生姜と干し生姜は全く異なる性質を持ち、冷えのタイプによって使い分けることが重要です。

この記事では、干し生姜と生姜の成分の違い、薬膳での性質の差、体質別の使い分け、効果を最大化する食べ方とレシピ、自宅での作り方、注意点、蒸し生姜や乾姜との違いまで、完全網羅してお届けします。


干し生姜と生姜はどう違う?変化する有効成分と温め方の差を徹底解説

乾燥で”ショウガオール”が増える理由

生姜の主要成分

生の生姜には、主に「ジンゲロール」という辛味成分が含まれています。この成分が、乾燥や加熱により化学変化を起こし、「ショウガオール」という別の成分に変わります。

ジンゲロールとは

  • 生姜の辛味と香りの元です
  • 水分を含んだ状態で安定しています
  • 発汗作用、抗炎症作用があります
  • 体表を温める効果があります

ショウガオールとは

  • ジンゲロールが脱水反応により変化した成分です
  • 体を内側から温める効果があります
  • ジンゲロールの約10倍の温め効果があります
  • 血行促進、代謝アップ効果が強いです

なぜ乾燥でショウガオールが増えるのか

1. 脱水反応

  • 乾燥により、ジンゲロール分子から水分子(H₂O)が取れます
  • この化学変化により、ショウガオールが生成されます

2. 加熱との相乗効果

  • 乾燥過程で熱が加わると、変化が促進されます
  • 80〜100℃で乾燥させると、ショウガオールの含有量が最大になります

3. 時間による変化

  • 乾燥時間が長いほど、ショウガオールが増えます
  • ただし、高温で長時間加熱しすぎると、成分が分解されます

含有量の変化

  • 生の生姜:ジンゲロール100%、ショウガオール0%
  • 干し生姜:ジンゲロール60〜70%、ショウガオール30〜40%
  • 蒸し生姜:ジンゲロール30〜40%、ショウガオール60〜70%

生姜に多い”ジンゲロール”との作用の違い

ジンゲロールの主な作用

1. 発汗作用

  • 体表を温め、汗をかかせます
  • 風邪の初期症状に効果的です
  • 体内の邪気を発散させます

2. 解熱作用

  • 発汗により、体温を下げます
  • 発熱時に適しています

3. 抗炎症作用

  • 炎症性物質の産生を抑えます
  • 関節炎、筋肉痛を和らげます

4. 吐き気止め

  • 胃の不快感を和らげます
  • つわり、乗り物酔いに効果的です

5. 抗菌作用

  • 細菌の増殖を抑えます
  • 食中毒の予防に役立ちます

ショウガオールの主な作用

1. 体内で熱を産生

  • 体の内側から温めます
  • 基礎体温を上げます
  • 慢性的な冷え性に効果的です

2. 血行促進

  • 血管を拡張し、血流を増やします
  • 手足の末端まで温かくなります

3. 代謝アップ

  • エネルギー代謝を活性化します
  • 脂肪燃焼を促進します
  • ダイエット効果があります

4. 鎮痛作用

  • 慢性的な痛みを和らげます
  • 生理痛、関節痛に効果的です

5. 抗酸化作用

  • 細胞の老化を防ぎます
  • アンチエイジング効果があります

比較表

成分 ジンゲロール(生姜) ショウガオール(干し生姜)
温める場所 体表 体の内側
温め効果 弱い(一時的) 強い(持続的)
発汗作用 強い 弱い
基礎代謝 上がりにくい 上がりやすい
適している冷え 軽い冷え、風邪の初期 慢性的な冷え性

薬膳で見る「生姜=生」「干し生姜=熟」の性質の差

薬膳における生姜と干し生姜の分類

生姜(しょうきょう)

  • 生の生姜、または軽く加熱した生姜
  • 性味:温性・辛味
  • 帰経:肺・脾・胃
  • 働き:発汗解表、温中止嘔
  • 適応:風邪の初期症状、吐き気、軽い冷え

乾姜(かんきょう)

  • 生姜を蒸して乾燥させたもの(厳密には干し生姜とは製法が異なる)
  • 性味:熱性・辛味
  • 帰経:脾・胃・心・肺・腎
  • 働き:温中散寒、回陽通脈、温肺化飲
  • 適応:慢性的な冷え性、手足の冷え、お腹の冷え

干し生姜の位置づけ

  • 市販の干し生姜は、生姜を乾燥させただけのものが多いです
  • 薬膳的には、生姜と乾姜の中間的な性質を持ちます
  • 生姜より温め効果が強く、乾姜より穏やかです

「生」と「熟」の違い

生(なま・せい)

  • 性質が軽く、上に上がる
  • 体表に働きかける
  • 発散作用が強い
  • 急性の症状に適している

熟(じゅく)

  • 性質が重く、下に降りる
  • 体の内側に働きかける
  • 補う作用が強い
  • 慢性の症状に適している

なぜ乾燥すると「熟」の性質になるのか

  • 水分が抜けることで、性質が重くなります
  • 加熱により、成分が変化し、体の深部に届きやすくなります
  • 発散作用が弱まり、温める作用が強まります

生姜が向く人・干し生姜が向く人|体質と症状でわかる最適な使い分け

手足が冷える「表寒タイプ」に合うのはどっち?

表寒(ひょうかん)タイプとは

体の表面(皮膚、筋肉)に寒邪(冷え)が侵入した状態です。風邪の初期症状に似ています。

特徴

  • 寒気がする
  • 背中がゾクゾクする
  • 手足が冷たい(急に冷えた)
  • 頭痛、肩こり
  • 鼻水、鼻づまり
  • 汗が出ない
  • 体温が低い(平熱以下)

原因

  • 冷たい風に当たった
  • 薄着で過ごした
  • 冷房に長時間当たった

どちらが適しているか:生姜

理由

  • 生姜のジンゲロールは、発汗作用が強いです
  • 体表を温め、寒邪を発散させます
  • 軽い発汗により、寒気が解消されます

おすすめの摂り方

  • 生姜紅茶を飲んで、布団に入って休む
  • 生姜とねぎのスープを飲む
  • 生姜湯を飲んで、すぐに体を温める

注意点

  • 表寒タイプに干し生姜を使うと、発汗作用が弱いため、寒邪が体表に残ることがあります

内側から冷える「裏寒タイプ」は干し生姜が効果的

裏寒(りかん)タイプとは

体の内側(胃腸、子宮など)に寒邪(冷え)がある状態です。慢性的な冷え性です。

特徴

  • お腹が冷たい
  • 手足が常に冷たい(慢性的)
  • 下痢、軟便
  • 頻尿、特に夜間頻尿
  • 生理痛(冷えによる)
  • 体温が低い(常に36℃以下)
  • 疲れやすい
  • 顔色が青白い

原因

  • 長期間の冷えの蓄積
  • 冷たいものの摂りすぎ
  • 陽気不足(体を温める力が弱い)

どちらが適しているか:干し生姜

理由

  • 干し生姜のショウガオールは、体の内側から温めます
  • 胃腸を温め、陽気を回復させます
  • 基礎体温を上げる効果があります
  • 持続的な温め効果があります

おすすめの摂り方

  • 毎朝、干し生姜白湯を飲む
  • 料理に干し生姜を加える
  • 寝る前に干し生姜ミルクを飲む

注意点

  • 裏寒タイプに生姜を使うと、発汗作用で一時的に温まりますが、すぐに冷えます
  • 体の内側が温まらないため、根本的な改善にはなりません

更年期・むくみ・胃弱など、症状別おすすめの選び方

更年期の冷えのぼせ

特徴

  • 手足は冷たいのに、上半身がほてる
  • のぼせ、ほてり
  • イライラ、不安
  • 不眠

どちらが適しているか:少量の生姜、または干し生姜は控えめに

理由

  • 更年期は陰虚(潤い不足)の状態です
  • 干し生姜は熱性が強く、のぼせを悪化させる可能性があります
  • 生姜も、使いすぎるとのぼせます

おすすめの摂り方

  • 生姜を少量(小さじ1/8程度)使う
  • 白きくらげ、はちみつなど、潤す食材と組み合わせる
  • 干し生姜は避けるか、ごく少量にする

むくみ(水滞タイプ)

特徴

  • むくみやすい
  • 体が重だるい
  • 下痢しやすい
  • 舌の苔が厚い

どちらが適しているか:生姜

理由

  • 生姜は、発散作用があり、余分な水分を排出します
  • 利尿作用があります

おすすめの摂り方

  • 生姜と陳皮のお茶
  • 生姜と小豆のスープ

注意点

  • 干し生姜は補う作用が強く、むくみを悪化させることがあります

胃が弱い(脾胃虚寒タイプ)

特徴

  • 食欲がない
  • 胃が冷えて痛い
  • 下痢、軟便
  • 疲れやすい

どちらが適しているか:干し生姜

理由

  • 干し生姜は、胃腸を温める効果が強いです
  • 消化を助け、食欲を増進させます

おすすめの摂り方

  • 干し生姜粥
  • 干し生姜とナツメのスープ

注意点

  • 生姜の辛味が強すぎる場合は、胃を刺激することがあります
  • 干し生姜を少量から始めます

風邪の予防

どちらが適しているか:生姜

理由

  • 生姜の発散作用が、体内の邪気を追い出します
  • 免疫力を高めます

おすすめの摂り方

  • 毎日生姜紅茶を飲む
  • 生姜とねぎのスープ

干し生姜の効果を最大限に引き出す食べ方と活用レシピ

干し生姜が相性の良い食材(黒糖・シナモン・ねぎ等)

黒糖

  • 性味:温性・甘味
  • 働き:温補、益気、活血
  • 相性の理由:干し生姜の温め効果を強化し、甘味が辛味を和らげます
  • 使い方:干し生姜黒糖湯、干し生姜黒糖紅茶

シナモン

  • 性味:熱性・甘味・辛味
  • 働き:温中散寒、温経通脈
  • 相性の理由:最強の温めコンビ。血の巡りが良くなります
  • 使い方:干し生姜シナモンティー、干し生姜シナモンミルク

ねぎ

  • 性味:温性・辛味
  • 働き:発汗解表、通陽
  • 相性の理由:気を巡らせ、発汗を促します
  • 使い方:干し生姜ねぎスープ

ナツメ

  • 性味:温性・甘味
  • 働き:補気養血
  • 相性の理由:干し生姜の辛味を和らげ、気血を補います
  • 使い方:干し生姜ナツメ茶

はちみつ

  • 性味:平性・甘味
  • 働き:補中緩急、潤肺止咳
  • 相性の理由:干し生姜の乾燥作用を和らげ、喉を潤します
  • 使い方:干し生姜はちみつ湯

陳皮(みかんの皮)

  • 性味:温性・辛味・苦味
  • 働き:理気健脾、燥湿化痰
  • 相性の理由:気を巡らせ、消化を助けます
  • 使い方:干し生姜陳皮茶

おすすめの摂取タイミング(朝・入浴前・就寝前)

朝(6〜10時)

なぜ朝が最適か

  • 陽気が上昇し始める時間帯です
  • 干し生姜が、この陽気の上昇を助けます
  • 一日のエネルギーが整います
  • 基礎代謝が上がり、一日中温かく過ごせます

おすすめの摂り方

  • 干し生姜白湯:空腹時に飲む
  • 干し生姜紅茶:朝食と一緒に
  • 干し生姜粥:胃腸が弱い人に

入浴前(30分〜1時間前)

なぜ入浴前が良いか

  • 干し生姜で体を温めてから入浴すると、温め効果が倍増します
  • 発汗が促進され、デトックス効果があります
  • 入浴後も体が冷めにくくなります

おすすめの摂り方

  • 干し生姜湯:カップ1杯
  • 干し生姜スープ:軽めの量

就寝前(1〜2時間前)

なぜ就寝前が良いか

  • 体が温まり、よく眠れます
  • 朝まで体温が保たれます
  • 疲労回復効果があります

おすすめの摂り方

  • 干し生姜ミルク:リラックス効果もある
  • 干し生姜はちみつ湯:喉を潤す

注意点

  • 就寝直前は避けます(消化に時間がかかるため)
  • 量は少なめにします(体が温まりすぎて眠れないことがあります)

避けるべきタイミング

  • 空腹時(胃が弱い人):胃を刺激することがあります
  • 発熱時:体の熱をさらに増やします
  • 激しい運動後すぐ:体がほてっている時は避けます

紅茶・スープ・料理に使うときのコツ

紅茶に使うとき

基本の干し生姜紅茶

  • 紅茶(ティーバッグ):1個
  • 熱湯:200ml
  • 干し生姜粉:小さじ1/4
  • 黒糖またははちみつ:小さじ1

作り方

  1. カップに紅茶を淹れます
  2. 干し生姜粉を加えてよく混ぜます
  3. 黒糖またははちみつを加えます

コツ

  • 紅茶は発酵茶で、体を温めます
  • 干し生姜と紅茶の相乗効果で、温め効果が高まります
  • ミルクを加えると、胃に優しくなります

スープに使うとき

干し生姜スープの作り方

  • だし汁または鶏がらスープ:400ml
  • 干し生姜粉:小さじ1/2
  • 野菜、肉など:お好みで
  • 塩、醤油:適量

作り方

  1. スープを作ります
  2. 仕上げに干し生姜粉を加えます
  3. よく混ぜます

コツ

  • 干し生姜は、煮込みすぎると香りが飛びます
  • 仕上げに加えるか、食べる直前に加えます

料理に使うとき

炒め物

  • 最初に油で干し生姜を炒めて、香りを出します

煮物

  • 煮込みの最後に加えます

あんかけ

  • あんに干し生姜を混ぜます

コツ

  • 干し生姜は香りが強いため、少量から始めます
  • 生の生姜より辛味が強いため、量を調整します

自宅で作れる干し生姜レシピ|天日乾燥・オーブン・レンジの3パターン

美味しく仕上がる”薄さ”と”温度”のポイント

薄さのポイント

理想の厚さ:1〜2mm

  • 薄すぎると、焦げやすく、苦くなります
  • 厚すぎると、乾燥に時間がかかり、中まで乾燥しません

切り方

  • スライサーを使うと、均一な厚さに切れます
  • 包丁で切る場合は、できるだけ薄く均一に切ります

温度のポイント

最適温度:80〜100℃

  • この温度帯で、ジンゲロールがショウガオールに変化します
  • 高すぎると、成分が分解されます
  • 低すぎると、変化が起こりません

天日乾燥の場合

材料

  • 生姜:好きなだけ

作り方

  1. 生姜を洗い、皮ごと1〜2mmにスライスします
  2. ざるや干し網に並べます
  3. 風通しの良い場所で、天日干しします
  4. 2〜3日、裏返しながら乾燥させます
  5. カラカラになったら完成です

メリット

  • 電気代がかからない
  • 自然な仕上がり

デメリット

  • 天候に左右される
  • 時間がかかる
  • ショウガオールの増加は少なめ

オーブンの場合

材料

  • 生姜:好きなだけ

作り方

  1. 生姜を洗い、皮ごと1〜2mmにスライスします
  2. クッキングシートを敷いた天板に並べます
  3. オーブンを80〜100℃に設定します
  4. 1時間焼きます
  5. 裏返して、さらに30分〜1時間焼きます
  6. カラカラになったら完成です

メリット

  • 温度管理がしやすい
  • ショウガオールが効率的に増える
  • 均一に乾燥する

デメリット

  • 電気代がかかる
  • 時間がかかる

電子レンジの場合

材料

  • 生姜:少量(50g程度)

作り方

  1. 生姜を洗い、皮ごと1〜2mmにスライスします
  2. 耐熱皿にクッキングシートを敷き、重ならないように並べます
  3. 500Wで3分加熱します
  4. 裏返して、さらに2〜3分加熱します
  5. まだ湿っている場合は、30秒ずつ追加加熱します
  6. カラカラになったら完成です

メリット

  • 短時間でできる
  • 少量を作るのに便利

デメリット

  • 焦げやすい
  • 温度が不均一
  • ショウガオールの増加は少なめ

長期保存できる正しい乾燥と保存方法

完全に乾燥させることが重要

乾燥の確認方法

  • パリパリと割れる
  • 曲げると、ポキッと折れる
  • 触っても湿った感じがしない

不十分な乾燥のリスク

  • カビが生える
  • 保存期間が短くなる
  • 風味が落ちる

保存方法

密閉容器に入れる

  • ジッパー付き袋、密閉瓶
  • しっかりと空気を抜きます

乾燥剤を入れる

  • 食品用乾燥剤を一緒に入れます

冷暗所または冷蔵庫で保存

  • 直射日光を避けます
  • 湿気の少ない場所

保存期間

  • 約3〜6ヶ月
  • 香りが弱くなったら、新しいものを作ります

粉末にする方法

  • ミルやすり鉢で粉末にします
  • 粉末の方が、料理に使いやすいです
  • 粉末も密閉容器で保存します

市販品を選ぶときは何を見ればいい?(品質基準)

原材料をチェック

  • 「生姜」のみであることを確認
  • 添加物、砂糖、塩が入っていないものを選ぶ

産地を確認

  • 国産(高知県、熊本県など)が品質が良い
  • 中国産も多いが、信頼できるメーカーを選ぶ

製造方法を確認

  • 「天日乾燥」「低温乾燥」と記載があるもの
  • 「蒸し生姜」と書いてあるものは、さらに効果が高い

色と香りを確認

  • 茶色っぽい色(白っぽいと乾燥が不十分)
  • 生姜の香りが強い

価格

  • 安すぎるものは、品質が低い可能性がある
  • 適正価格は、100gあたり500〜1000円程度

信頼できるメーカー

  • 有機JAS認証があるもの
  • メーカーのウェブサイトで製造方法が公開されているもの

干し生姜のメリットと注意点|胃が弱い・ほてりがある人は要チェック

摂りすぎるとどうなる?胃痛・ほてり・逆効果の可能性

干し生姜の摂りすぎによる症状

1. 胃痛、胃の不快感

  • 干し生姜の辛味が、胃の粘膜を刺激します
  • 胃炎、胃潰瘍の人は特に注意が必要です

2. ほてり、のぼせ

  • 熱性が強いため、体に熱がこもります
  • 顔が赤くなる、汗が止まらないなどの症状が出ます

3. 口の渇き、喉の渇き

  • 体の潤いが失われます
  • 陰虚体質の人は特に注意が必要です

4. 便秘

  • 体が乾燥し、便も乾燥します

5. イライラ、不眠

  • 体に熱がこもり、心が落ち着きません

6. 逆効果(冷えが悪化)

  • 摂りすぎると、一時的に体がほてった後、急に冷えることがあります
  • これは、体が熱を逃がそうとする反応です

適量を守る

  • 1日小さじ1/4〜1/2(約0.5〜1g)
  • 最初は少量から始め、体の反応を見ます

妊娠中・授乳中の注意点

妊娠中

使用の可否

  • 少量(小さじ1/8程度)であれば、問題ないとされています
  • ただし、大量摂取は避けます

注意点

  • 干し生姜は熱性が強いため、のぼせやすくなります
  • つわりがある場合は、生の生姜の方が適しています(吐き気止め効果)
  • 心配な場合は、医師に相談してください

授乳中

使用の可否

  • 適量であれば問題ありません

注意点

  • 干し生姜の成分が母乳に移行し、赤ちゃんの体を温めすぎる可能性があります
  • 赤ちゃんがほてったり、機嫌が悪くなったりしないか観察します
  • 1日小さじ1/4程度に抑えます

効果が出やすい量と安全に使う

目安

効果が出やすい量

初心者

  • 1日小さじ1/8から始める
  • 1週間続けて、体の反応を見る
  • 問題なければ、徐々に増やす

慣れてきたら

  • 1日小さじ1/4〜1/2が目安
  • これで十分な温め効果が得られます

最大量

  • 1日小さじ1(約2g)を超えないようにする
  • それ以上は、副作用のリスクが高まります

体質別の目安

陽虚タイプ(強い冷え性)

  • 1日小さじ1/2〜1
  • 毎日続けることで、体質改善効果が出ます

気虚タイプ(疲れやすい)

  • 1日小さじ1/4
  • 他の補気食材(ナツメ、はちみつ)と組み合わせます

陰虚タイプ(乾燥しやすい)

  • 1日小さじ1/8
  • 潤す食材(白きくらげ、はちみつ)と組み合わせます
  • または使用を控えます

安全に使う目安

以下の症状が出たら、使用を中止または減量

  • 胃が痛い、不快感がある
  • ほてり、のぼせが強い
  • 口が異常に渇く
  • 便秘が悪化する
  • イライラ、不眠が出る
  • 鼻血が出る

安全に使うコツ

  • 空腹時を避け、食後に摂る(胃が弱い人)
  • 水分をしっかり摂る(潤いを補う)
  • 他の温め食材と併用しすぎない
  • 夏場は量を減らす
  • 体の反応を常に観察する

蒸し生姜・乾姜との違いも知っておきたい|温め力の強さランキングと使い分け

蒸し生姜はなぜ「最強の温め食材」と言われるのか

蒸し生姜(ウルトラ生姜)とは

生姜を蒸してから乾燥させたものです。家庭でも作れますが、市販品も増えています。

製造方法

  1. 生姜を洗い、皮ごと1〜2mmにスライスする
  2. 蒸し器で30分蒸す
  3. 天日干しまたはオーブン(80℃)で乾燥させる
  4. カラカラになるまで乾燥させる

なぜ最強の温め食材なのか

1. ショウガオールの含有量が最大

  • 蒸すことで、ジンゲロールが効率的にショウガオールに変化します
  • 干し生姜の約2倍のショウガオールを含みます
  • 生姜と比べると、約10倍以上の温め効果があります

2. 酵素が活性化される

  • 蒸すことで、酵素が活性化され、成分変化が促進されます

3. 体の深部まで温める

  • ショウガオールが豊富なため、体の芯から温まります
  • 基礎体温が上がりやすくなります

4. 温め効果が持続する

  • 一時的な温めではなく、長時間効果が続きます

科学的データ

  • 蒸し生姜を摂取すると、体温が平均0.5〜1℃上昇します
  • 効果は3〜4時間持続します
  • 継続的に摂取すると、基礎体温が上がります

適している人

  • 重度の冷え性
  • 基礎体温が35℃台の人
  • 手足が氷のように冷たい人
  • 何をしても冷えが改善しない人

注意点

  • 熱性が非常に強いため、のぼせやすい人は避けます
  • 少量から始めます(1日小さじ1/8〜1/4)
  • 水分をしっかり摂ります

中医学でいう”乾姜”とは?干し生姜との違い

乾姜(かんきょう)とは

中医学における正式な生薬です。中国薬典に記載されています。

製造方法

  • 生姜を蒸してから乾燥させます
  • または、生姜を直接高温(100℃以上)で乾燥させます
  • 皮を除去することもあります

性味と帰経

  • 性味:熱性・辛味
  • 帰経:脾・胃・心・肺・腎
  • 働き:温中散寒、回陽通脈、温肺化飲

効能

  • 体の内側を強力に温めます
  • 陽気を回復させます(回陽)
  • 手足の冷え、お腹の冷えを改善します
  • 下痢、嘔吐を止めます
  • 肺を温め、痰を取り除きます

干し生姜との違い

製造方法

  • 乾姜:蒸してから乾燥(または高温乾燥)
  • 市販の干し生姜:乾燥のみ(蒸さない場合が多い)

温め効果

  • 乾姜:熱性、非常に強い
  • 干し生姜:温性、強い(乾姜より穏やか)

薬膳での位置づけ

  • 乾姜:正式な生薬、漢方薬にも使われる
  • 干し生姜:家庭で使える温活食材

入手方法

  • 乾姜:漢方薬局で購入
  • 干し生姜:スーパー、ネット通販で購入可能

目的別におすすめの生姜の使い方(比較表つき)

温め力の強さランキング

  1. 蒸し生姜(最強)
  2. 乾姜(非常に強い)
  3. 干し生姜(強い)
  4. 加熱した生姜(中程度)
  5. 生の生姜(弱い)

目的別の使い分け

目的 おすすめ 理由
風邪の初期症状 生の生姜 発汗作用が強い
つわり、吐き気 生の生姜 止嘔作用がある
軽い冷え性 生の生姜、加熱した生姜 一時的に温まる
慢性的な冷え性 干し生姜 体の内側から温める
重度の冷え性 蒸し生姜 最強の温め効果
胃腸の冷え 干し生姜、乾姜 胃腸を温める
むくみ 生の生姜 発散作用がある
ダイエット 干し生姜、蒸し生姜 代謝を上げる
老化予防 干し生姜、蒸し生姜 抗酸化作用が強い

症状別の使い分け

症状 おすすめ タイミング
風邪の初期(寒気) 生の生姜 小さじ1 すぐに
手足の冷え 干し生姜 小さじ1/4〜1/2 朝・夜
お腹の冷え 干し生姜 小さじ1/4 朝・食後
基礎体温が低い 蒸し生姜 小さじ1/8〜1/4
生理痛(冷えによる) 干し生姜 小さじ1/4 生理前〜生理中
疲れやすい 干し生姜+ナツメ 小さじ1/4
むくみ 生の生姜 小さじ1/2 朝・昼

併用の例

風邪の初期から回復期まで

  1. 初期(寒気がある):生の生姜を使う
  2. 中期(発熱):生姜の使用を控える
  3. 回復期(疲れが残る):干し生姜で体力を回復

季節による使い分け

  • 春:生の生姜(発散作用)
  • 夏:生の生姜(少量、むくみ対策)
  • 秋:干し生姜(体を温め始める)
  • 冬:干し生姜、蒸し生姜(本格的に温める)

まとめ

干し生姜と生姜の最大の違いは、含まれる成分です。生姜に多いジンゲロールは体表を温め発汗を促すのに対し、干し生姜に増えるショウガオールは体の内側から温め、基礎代謝を上げます。薬膳では、生姜は「生」の性質で急性症状に適し、干し生姜は「熟」の性質で慢性症状に適しています。

手足が冷える表寒タイプには生姜が、内側から冷える裏寒タイプには干し生姜が効果的です。更年期やむくみには使い方に注意が必要で、体質と症状に合わせた使い分けが重要です。

干し生姜の効果を最大化するには、黒糖、シナモン、ねぎなどの相性の良い食材と組み合わせ、朝・入浴前・就寝前などのタイミングで摂取します。紅茶やスープに加える際は、仕上げに入れることで香りが活きます。

自宅で作る場合は、1〜2mmの薄さにスライスし、80〜100℃で乾燥させることでショウガオールが効率的に増えます。天日乾燥、オーブン、電子レンジの3つの方法があり、完全に乾燥させて密閉保存すれば3〜6ヶ月保存できます。

摂りすぎると胃痛やほてりの原因になるため、1日小さじ1/4〜1/2を目安にします。妊娠中・授乳中は少量にとどめ、陰虚体質の人は特に注意が必要です。

蒸し生姜は温め力が最強で、乾姜は中医学の正式な生薬です。温め力の強さは、蒸し生姜>乾姜>干し生姜>加熱した生姜>生の生姜の順で、目的と体質に合わせて選びましょう。

風邪の初期には生姜、慢性的な冷え性には干し生姜、重度の冷え性には蒸し生姜が最適です。今日から、あなたの体質に合った生姜を選んで、冷えを根本から改善し、温かく元気な毎日を手に入れてください。