「薬膳って食養生と何が関係あるの?薬膳の根本にある理念を知りたい!健康的な食生活を送るための考え方を教えてほしい!」
薬膳は単なる健康食ではなく、深い理念に基づいた食養生の方法です。
その理念を理解することで、なぜ薬膳が健康維持に効果的なのかが見えてきます。
・薬膳とは何か基本を知りたい
・食養生の理念について詳しく知りたい
・薬膳の根本にある考え方を理解したい
など、薬膳と食養生の理念について知りたいこともあるでしょう。
そういうわけで今回は、『薬膳とは何か』という基本から、『食養生の理念』、そして『実践するための考え方』まで詳しくお伝えしていきます。それでは早速みていきましょう!
薬膳とは?食養生の実践方法

薬膳とは、中医学の理論に基づいた食事療法のことです。
食材や生薬を用いながら、健康維持や健康増進、病気の予防などを目的とした料理や献立のこと。中国古来の思想である「薬食同源」から生まれたとされています。
一方、食養生とは病気の予防と治療、健康保持、体質改善などを目的とした食事法のことです。
その人の体質や体調に応じて栄養を考えた食事になるよう調整していきます。中医学の理論に基づき、食物自身が持つ性能や作用を応用し、身体を養う飲食方法なのです。
つまり、薬膳は食養生を効果的に行うための具体的な手段といえます。
食養生を実践する方法の一つが薬膳であり、薬膳は養生や病気予防から体質改善、さらに病気の治療にも役立つとされているのです。中医学の理論に従い、季節や気候、体調などを考慮して、薬効による適切な食材や生薬を選び、組み合わせて作られます。
薬膳には「食養薬膳」と「食療薬膳」の2種類があります。
食養薬膳は養生のための薬膳で「養生薬膳」とも呼ばれ、健康維持や病気予防を目的としたもの。一方、食療薬膳は治療のための薬膳で、より専門的な知識が必要になります。
一般的に「薬膳」と呼ばれているのは、日々の食事に応用しやすく手軽に実践できる食養薬膳のことなのです!
薬膳の根本にある食養生の理念

薬膳を正しく理解するには、その根本にある食養生の理念を知ることが重要です。
ここでは、薬膳の基本となる考え方を詳しくお伝えしていきます。
薬食同源の理念
薬膳の最も基本となる理念が「薬食同源」です。
これは、食べ物と薬の源は同じという意味で、食物は薬と同じ天然由来であり、自身に性質や効能を持っているという考え方。うまく活かして食事をすることで、健康につながるという思想なのです。
昔から食材には薬と同じような効能があると考えられてきました。
実際、私たちが普段料理に使っている生姜や大根、ネギなども漢方薬の成分として使われています。生姜は風邪薬として知られる葛根湯にも含まれており、食材と薬の境界線は曖昧なのです。
薬食同源の理念では、毎日食べるものは薬にもなれば毒にもなると考えます。
そのため、食べ物を五感で感じて食べることが医学的にも重要で、また毎日続けられなければ意味がないのです。なぜなら、未来の私をつくるのは今日の私が作る家庭料理であり、これこそが薬膳の本質だからです。
つまり、薬食同源の理念は単に薬効のある食材を食べることではありません。
日々の食事を通じて健康を維持し、病気を予防するという考え方なのです!
天人合一の理念
薬膳のもう一つの重要な理念が「天人合一」です。
これは、人間は自然の一部と捉え、自然環境や気候から影響を受けるのが必然なことで、自然に順応することが大切であり、健康を保つ秘訣でもあるという考え方。自然のリズムに合わせて生きることが、健康につながるのです。
具体的には、季節の変化に合わせた食生活を送ることを意味します。
春夏秋冬それぞれの季節に合った食材を選び、その時期の気候に適した調理法を用いること。例えば、夏には体の熱を取る食材を、冬には体を温める食材を摂るという考え方です。
また、一日の中でも自然のリズムに合わせることが推奨されています。
太陽が昇って朝が来て、太陽が沈んで夜が始まり一日が終わるという自然のサイクル。このリズムに合わせた食事の時間や内容を考えることも、天人合一の理念に基づいているのです。
さらに、その土地で採れた食材を食べることも天人合一の考え方といえます。
地元の物産館などで季節の農産物を選択することが、薬膳食養生へとつながっていくのです!
陰陽調整の理念
薬膳の基本を成す考え方に「陰陽調整」があります。
中国には、世の中にあるすべてのものは「陰」と「陽」でできているという考えがあり、体の状態もこの二つで表現します。そして、そのどちらにも偏らず、バランスが良い状態を「健康」としているのです。
陰は夜で、暗い、冷たい、重い、じめじめなどをイメージするもの。
一方、陽は朝で、明るい、温かい、軽い、乾燥などをイメージします。体は陰と陽どちらに傾いても好ましくなく、陰に傾くと体が冷えて重くなり節々が痛むようになります。
逆に陽に傾くと肌が乾燥したり、吹き出物が出たりするのです。
食物にも陰と陽があり、温める性質は「陽」、冷やす性質は「陰」と考えられています。陰の状態が気になる場合は陽の要素の食事を取り入れ、反対に陽が気になる場合は陰の食事を取り入れ調和させます。
自然や身体の陰陽の変化に応じて食事をとることが大切であり、「平」つまり陰陽バランスを保つことを目標とするのです。
体を温める食材、冷やす食材、そのどちらでもない食材を上手に組み合わせることが、陰陽調整の理念に基づいた食養生なのです!
全面膳食の理念
薬膳の理念には「全面膳食」という考え方もあります。
これは、偏らない食事をとることを意味します。季節や体質に応じて食養生を行うことで、バランスの取れた食事が実現できるという考え方なのです。
一つの食材ばかり食べる風潮は、たまたま合って体調が良くなる人もいれば、むしろ体調を崩す人もいます。
人の体質はいろいろであり、ある食品にだけ注目してそればかり食べることは好ましくありません。様々な食材の薬効を考慮した養生食事が、全面膳食の理念に基づいた薬膳なのです。
また、五色の食材をバランスよく食べることも全面膳食の一部といえます。
緑・赤・黄・白・黒の五色は、五臓、五味、五感のすべてにつながっています。彩りのある食卓を心がけることで、自然と栄養バランスの取れた食事になるのです。
さらに、その季節の色の食材を多く摂ることも大切。
春は緑、夏は赤、土用は黄、秋は白、冬は黒といったように、季節ごとに対応する色の食材を意識的に取り入れます。このように、偏りなく様々な食材を組み合わせることが、全面膳食の理念なのです!
薬膳で重視される未病を治すという理念

薬膳の重要な理念の一つが「未病を治す」という考え方です。
この理念こそが、薬膳が予防医学として高く評価される理由といえます。
未病とは何か
未病とは、病気ではないけれど何となく不調を感じる状態のことです。
東洋医学で言われる概念で、明らかな症状が出ていなくとも体のバランスが崩れている状態を指します。例えば、体がだるい、よく眠れない、疲れが取れない、手足が冷える、食欲不振、生理痛、肥満などが未病に該当するのです。
西洋医学では、病気の患部に注目して診断し、投薬治療で早く治すことを目指します。
一方、中医学では体全体のバランスや患者の体質を診て、普段の生活の中から病気にかからないよう予防をしていきます。未病の段階で体調を整えることで、病気になるのを防ぐという考え方なのです。
中国最古の漢方医書『黄帝内経』には「巳病ヲ治セズシテ、未病ヲ治ス」と記されています。
これは、発病後の治療ではなく未病を治すことを重視するという意味。この「治未病」という概念こそが、予防医学理論の起源といえるでしょう。
薬膳では、この未病の状態を食事によって改善していきます。
なぜなら、体のバランスが崩れた軽い段階であれば、食事療法で十分対処できると考えられているからです!
病気予防としての食養生
薬膳の目的は健康維持と病気予防にあります。
病気になってから治療するのではなく、日常の食事を通じて健康を維持し、病気にかからない体をつくることが最も重要なのです。薬膳で一番大事な目的は「健康」と「長寿」といえるでしょう。
古い医学書には「病気治療はまず食事療法で対処すべき」と記されています。
これは、軽い不調であれば食事で改善できるという考え方を示したもの。実際、古代中国では医者を工と呼び、上工・中工・下工という分け方をしていました。
上工は病気になりそうなことを事前に察し、未病のうちに健康の調整をする医者のこと。
中工は病気になってから治療を施し、下工は重病になってから手を施す医者です。つまり、日常の食事で健康を調整し未病にあたる食医が最も位が高く、敬意が注がれていました。
現代では生活習慣病の予防が盛んに呼びかけられる時代です。
食事による健康づくりに注目が集まっており、薬膳の知識を少し持っておくことは、家族や友人の健康寿命に影響を与え、人生を健やかに導くことができるはず。病気にならない身体をつくるための食養生こそが、薬膳の本質なのです!
日々の食事で実践する健康管理
薬膳の理念では、特別な時だけでなく日々の食事こそが重要とされています。
毎日3回、美味しいと思う食事が365日続いたら、それは幸せな時間を積み重ねていることになります。そこに薬膳の知恵があれば、健康も同時に積み重ねていけるのです。
養生薬膳の特徴は、健康維持や病気予防、病後の回復、延年益寿を目的とした養生食事であること。
そして、日々の食事に応用しやすく、手軽に実践できる点にあります。元気がないときこそ、薬食同源の考えに基づいて自分で作ったものを食べることが大切なのです。
冷蔵庫にある食材に生姜やニンニクを加えて、スープや鍋を作るだけでもよいのです。
たまになら適当でもよいですが、それが続くと人間が簡単に適当になってしまいます。薬膳は家庭料理であり、毎日続けられるからこそ元気でいられる。
日々の食事で五色の食材をバランスよく食べることが、一日一日の体調のパフォーマンスを向上させる効果につながるのです!
薬膳を実践するための基本的な考え方

薬膳の理念を理解したところで、実践するための具体的な考え方をお伝えしていきます。
理論だけでなく、日常生活で活かせる方法を知ることが大切です。
体質に合わせた食材選び
薬膳を実践する上で最も重要なのが、体質に合わせた食材選びです。
冷え症が気になる人に体の熱を逃がす効果のある食材を組み合わせると、保温に必要な熱まで奪ってしまう可能性があります。同じ料理でも体質によって合う合わないがあり、それを見極めて料理を作ることが大切なのです。
中医学では、代表的な体質として陰虚、気虚、気滞、血虚、血瘀などが定義されています。
それぞれの体質によって、適した食材や避けるべき食材が異なるもの。自分の体質を理解し、体質にあった薬膳を見極め、生活に取り入れていくことが必要です。
例えば、手足の冷えが気になっている人には体を温める効果が優れている生姜がおすすめ。
胃腸を温める効果のあるれんこん、鮭、大根などを組み合わせると良いでしょう。一方、毎日野菜を摂取するためにサラダなど生野菜を食べる習慣がある人も多いですが、生野菜は体の熱を外へ逃がすという性質を持っています。
冷えが気になる人は野菜の加熱を行うことで、生で食べるよりも冷えにくい体質へ改善を導けます。
このように、体質が原因で引き起こされやすい未病を防ぎ、健康的な生活へとサポートするのが薬膳なのです!
季節に合わせた食養生
薬膳では、季節に合わせた食養生が重視されます。
旬を迎えた食材には、おいしいだけでなくその季節にふさわしい働きを持つものが多くあります。薬膳というと特別な食事のように誤解されがちですが、実はすべての食物に薬膳の効果があるというのが薬膳の思想なのです。
例えば、夏になると苦瓜やトマト、スイカなどの作物が収穫されます。
これらの夏野菜は体の熱をとる性質があり、熱中症予防など暑い季節の体温調節を行うのに最適。逆に冬はニラやネギ、根菜類が体の中の冷えや寒さを取り除き、巡りをよくする効果を持っています。
薬膳には春夏秋冬、さらに季節の変わり目になる「土用」を含めた五季という考え方があります。
五季に合わせて、その季節に合った緑・赤・黄・白・黒の五色の食材を摂る「五季五色」という教えも。春にかけては免疫力の高まる食材や苦みのある食材が多くなり、体を守ってくれるのです。
旬のものを食べることで、その季節に合った効能が得られます。
普段の食事に季節ごとの旬の食材を使うだけでも、薬膳を実践できるのです!
美味しく食べることの重要性
薬膳の理念で忘れてはいけないのが、美味しく食べることの重要性です。
薬膳に対して「漢方薬を混ぜた食事」「薬臭い食事」「美味しくない食事」などのイメージを持つ方もいますが、これらは誤解。薬膳の基本は「体に合った美味しい食事」なのです。
薬臭いのなら薬として煎じ薬で飲めばよいのであって、わざわざ調理する必要はありません。
季節やその日の体調などに合わせて選んだ食材をおいしく摂取することで、体を内側から整えます。なぜなら、美味しくなければ毎日続けられず、続けられなければ意味がないからです。
薬膳は料理であり、食べ物であって薬ではありません。
不味い、作るのが面倒などというような陰性感情を持ってしまえば、ただの苦痛な家事になってしまいます。楽しく、おいしいと感じられるような薬膳料理作りを始めることで、充実した食生活となる可能性があるのです。
食べ物を五感で感じて食べることが医学的にも重要。
旬の食材を旬のうちに美味しくいただくから毎日続き、元気でいられるのです!
身近な食材で実践する薬膳食養生

薬膳の理念を理解したところで、具体的な実践方法をご紹介していきます。
特別な食材がなくても、身近な食材だけで薬膳食養生は実践できるのです。
スーパーで買える食材で薬膳
薬膳料理というと、薬くさい食事をイメージされる方もいるでしょう。
ですが、季節の食材をスーパーで買って食すことも立派な食養生です。クコの実やなつめ、八角などスパイスのような独特の風味がある食材だけが薬膳料理ではありません。
スーパーで購入できる野菜、肉、魚、調味料だけでも薬膳料理を作ることが可能です。
薬膳料理は中医学に基づき食材の性質とバランスを組み合わせて作るので、身近な食材でも体によい薬膳料理を手軽に作れます。例えば、ネギやショウガ、大根、唐辛子などには体を温める効果があり、風邪や冷え性への効き目が期待されるもの。
また、ハッカやなつめなどにはストレス解消効果があると考えられています。
基本の効果を理解すれば、身近な食材で十分薬膳を取り入れられるのです。地元の物産館などではその土地で栽培されている季節の農産物が多数販売されていますが、このような地元産で季節食材を選択することが薬膳食養生へとつながっていきます!
日常の組み合わせに潜む薬膳の知恵
実は、日本の伝統的な食べ合わせには薬膳の知恵が活きているものも多くあります。
特別な食材や調理方法を行わなくても、日常生活に取り入れられる薬膳はたくさんあるのです。豆腐に生姜をプラスするだけで、立派な薬膳料理に変わります。
豆腐と生姜の組み合わせには、消化機能を整える、体内の余分な熱を取り除く、解毒作用などの効果が期待できます。
いつもお醤油だけをかけて食べるという人も、仕上げに生姜を豆腐に乗せるだけなので、ぜひ試してみてください。豆腐と生姜の相乗効果で、解毒作用に優れた薬膳料理になるのです。
お刺身の薬味にも薬膳効果が期待できます。
わさびと大葉を合わせて食べることで、解毒作用、めぐりを高めて消化機能をサポートする、胃腸を温めて冷えを防いでくれるといった効果が。生の食材は体を冷やしやすいですが、わさびと大葉を合わせることで体を温める作用がプラスされます。
このように、食材の性質と体質を組み合わせて考えるだけで、手軽に薬膳を取り入れられるのです!
調理法にも薬膳の理念を活かす
薬膳では、食材選びだけでなく調理法も重要視されます。
調理方法を選ぶことで、食材の性質を変化させたり、薬効を高めたりできるからです。体質に合わせて、使用する食材と調理方法を選んでいくことが薬膳の考え方といえます。
例えば、生野菜は体の熱を外へ逃がすという性質を持っています。
スムージーのように加熱を行わない摂り方もサラダと同じく、保温に必要な熱が逃げやすくなるので、薬膳料理では冷えが気になる人にはあまりおすすめではない調理方法。冷えが気になる人は野菜を加熱することで、生で食べるよりも冷えにくい体質へ改善を導けます。
また、長時間煮込むことで食材の薬効を引き出す方法もあります。
薬膳では薬の成分を引き出すために、長時間煮込んだスープや粥などが多く作られているのです。蒸し料理も食材の効能を失わない調理法として推奨されています。
このように、調理法を工夫することで食材の力を最大限に活かすことが、薬膳食養生の理念なのです!
まとめ

今回は、薬膳とは何か、そして食養生の理念についてお伝えしてきました。
薬膳とは中医学の理論に基づいた食事療法で、食養生を効果的に行うための具体的な手段です。食養生とは病気の予防と治療、健康保持、体質改善などを目的とした食事法で、その人の体質や体調に応じて栄養を考えた食事になるよう調整していきます。
薬膳の根本には、薬食同源、天人合一、陰陽調整、全面膳食という4つの理念があります。
食べ物と薬の源は同じという薬食同源の考え方、自然に順応することが健康を保つ秘訣とする天人合一、陰陽のバランスを保つ陰陽調整、偏らない食事を心がける全面膳食。これらの理念が薬膳の基礎となっているのです。
また、薬膳の重要な理念として「未病を治す」という考え方があります。
病気になってから治療するのではなく、未病の段階で体調を整えることで病気を予防する。日々の食事を通じて健康を維持し、病気にかからない体をつくることが薬膳の本質といえるでしょう。
実践するには、体質に合わせた食材選び、季節に合わせた食養生、そして美味しく食べることが大切です。
特別な食材は必要なく、スーパーで買える身近な食材だけでも十分薬膳を実践できます。豆腐に生姜を添える、お刺身にわさびと大葉を合わせるといった日常の組み合わせにも、薬膳の知恵が活きているのです。
今日から、旬の食材を選ぶ、体質に合った食材を意識する、調理法を工夫するなど、小さなことから始めてみてください。
薬膳の理念を理解し、日々の食事に取り入れることで、健康で豊かな生活を送ることができます。食養生という考え方を大切にしながら、心身ともに健やかな毎日を過ごしていきましょう!


